日本が誇るヒップホップバンド”韻シスト”6枚目のアルバム『CLASSIX』

日本が誇るヒップホップバンド”韻シスト”6枚目のアルバム『CLASSIX』

interview by CHINATSU MIYOSHI photo by YOSHIMOTO MASAHIRO

希少なバンドスタイルとして、日本のヒップホップシーンを牽引する韻シストから、2年8ヶ月振りとなるフルアルバムが遂に完成した。『CLASSIX』と銘打った今作は、インタビュー中にMCのBASI氏が語っているように「このメンバーでなら、何でも出来る」という確信を得て生まれた、バンドキャリア至上でも最上の…いや、更なる展開を予期させる完成度の高さである。多くの著名アーティストからのラブコールも絶えない中、「韻シスト」として不動のスキルと類を見ないセンスを存分に見せつけてくれた。

 

 

HDM:韻シスト名義では2年8ヶ月振りのアルバムですけど、かなり制作がロングスパンだったんですか?

SHYOU(BASS):制作もそうなんですけど、同時にソロ活動でアルバム2枚出したり、僕らバンドメンバーも提供とかコラボレーションなんかもあったりで。

TAKU(GUITER):そうそう。企画盤として、CHARAさんやPUSHIMさんらとEP2枚でソロ2枚と…だから、レコーディングに関してはもう、ずっとやってたイメ−ジですね。今回の韻シスト名義でのアルバム制作は、それと並行してっていう感じで。

SHYOU:韻シストとしてのライブもコンスタントにやってたから、こうやってアルバムが出来上がってから「2年8ヶ月ぶりの!」って銘打たれて「あっ、そんな経ってたんや」って気付いたくらい(笑)。

SAKKON(MC):去年の段階でもうレコーディング終えてはいたから、リリースするタイミングを待ってたっていうところがあったし。

SHYOU:うん。今回はアルバムが出来上がってから「さあ、どういう形でリリースしようか?」って。どこのレーベルから出そうかなとか、新しい展開を模索していたから。もしいい縁があったらいいなと。そうしたら、今回PUSHIMさんが設立したレーベル(Groovillage)から出させて頂くお話になって。

 

HDM:PUSHIMさんとは楽曲のコラボレーションがきっかけで、そういった展開になったんですか?

SHYOU:ライブを一緒に重ねたり、レコーディングに参加させて頂いたり、その流れで飲んだりしていて、音楽的な価値観だとか、すごくいろいろと共有できる部分が大きかったんですよね。だから、本当に自然な流れで。

TAKU:今回は自分たちのレーベルじゃなく、新しい展開が出来たらと考えていた僕たちの意志も理解して下さっていたし、その時はちょうどPUSHIMさんもレーベルを移籍されて、メジャーメーカーの中で自分でレーベルを設立されたタイミングだったから、すべてがちょうどいいタイミングで繋がったんですよね

 

 

HDM:新しい展開で言うと、今回は楽曲制作にかなり苦悶したというお話も伺ったのですが、これまでのキャリアでのルーティンとはまったく違っていましたか?

SHYOU:僕らの原点にあるヒップホップとかジャズ、ソウル、パンクミュージックという土台そのものは揺るぎないものなんですけど、改めてそういうジャンル…その音楽の世界をもっと掘り下げて、自分たちらしいアティテュードが出るような音作りに特化しましたね。そういうことって、先人たちの物真似やコピーをやるというわけにはいかないので、本当に四苦八苦しました。ブラックミュージックやヒップホップを、自分たちなりに壊して新しいものを構築するというのは。敬意という意味でのルールはあるし、だけど、おさまりすぎてもあかんし。でも、今回はそれが打破できたと思います。

SAKKON:沖縄のコザでメンバーみんなで住み込みのカンヅメ状態でレコーディングしていたんですけど、みんなが録っている間にマネージャーがご飯用意してくれたりね(笑)。そうやって同じ釜の飯を食べてね。

 

HDM:合宿みたいでいいですね(笑)。でも、どうしてわざわざ沖縄で?

TAKU:沖縄に居ると時間の流れとか空気感がいい感じなので。環境によるメンタルへの影響が非常に良い(笑)。

SHYOU:環境の影響ってすごいある。特に、リリックにすごい反映されると思うんやけど(笑)。沖縄で書いたものと大阪で書いたものって、自分っていう1人の人間がやったことやのに全然違う。

TAKU:それも前作のアルバムで気付いたことやんな。「全部沖縄で作るとこうなるのか!」っていうのがわかった(笑)。だから今回は、大阪の感覚と沖縄の感覚のいいとこどりで録れたと思う。

 

HDM:先程、破壊と構築によって打破できたと仰っていましたが、具体的にどのような変化を感じていますか?

BASI(MC):俺は何やろう?楽曲で言うと『COOL&SWAG』は今までの韻シストにはない感じの曲になったなと思いますね。今までハズしてたカルチャーを取り入れることが出来たかなと。泥臭いファンクなものを軸に自分たちの要素を足していく、という従来のやり方とはまた違って。ワードは勿論ですけど、音をスクリューさせていったり、倍速で乗せるバースとか、音の作り方にしてもすごい新鮮な感覚でしたね。こういう遊び、というか音楽の作り方をこのタイミングで受け入れることが出来たのって、やっぱりこのバンドが成熟してきた証明であるとも思ったし…ていうか、ちょっと真面目すぎます(笑)?

HDM:ハハハ!何ですか突然(笑)!

BASI:いや、何となく(笑)。でもね、続けて真面目な話ですけど、自分にとっても新しいスキルが得られたと思いますね。

TAKU:僕は『PARTY SIX』かな。これも、今までとはまたちょっと違った新鮮さがあるというか。この曲は一番最後に出来た曲で、アルバム全体を見渡した時に「こういう感じの曲があってもいいんちゃうかな?」で作ったんです。アルバムの中での最終的な接着剤的な曲にもなったし、全ての曲が出来上がった時点で新たな曲を作るって言うのも、今までしたことなかったから。

 

 

HDM:『CLASSIX』というアルバムタイトルはどういう経緯で?

TAKU:前作を作っている時点で「6枚目は『CLASSIX』にしよう!」と彼(BASI)が言い切っていたので(笑)。

HDM:前作からの流れで、今回のタイトルに繋がった?

BASI:前作を作ったことで「この5人でなら何でも出来る」っていう確信が持てたんですよね。主張も尊重も理解も、全員がすごいいいバランスで成立してるなって感じたから。それって、一緒に何かを作り上げるのに一番重要なことやと思うんですよ。そういう確信が持てたからこそ、名盤とか、傑作とか…そういうマスターピース的なものにしたいと思ったんです。もう、その時点で僕の目には王冠とかピカーって見えてましたからね。

HDM:見えたか~王冠(笑)。

BASI:うん(笑)。もうね、何の不安も疑念もない最高のものが出せると思ったんで『CLASSIX』。俺らのチームは6人、このアルバムは6枚目、そして奇しくも6月リリース。

HDM:めっちゃ「6」ですね!

BASI:僕は昔から結構、「ろく(6)でなし」とも呼ばれていたことがありましたし。そんなん言われたら、めっちゃおどろく(6)わ~ゆうて。ほんで、録(6)音もめっちゃ頑張ったやん、俺ら。あとは…え~とえ~と…あ!TAKUなんか宅録(TAKU+6)してたし!ほんで…

HDM:どんどん出てくるわ(笑)!

BASI:記録(6)的豪雨もあったしなあ。

TAROW-ONE(DRUMS):すごろく(6)もしたし…

TAKU:したっけ?

BASI:再登録(6)もしたし…

HDM:あの…「6繋ぎ」もうヤメてもらっていいですかね…(笑)。

SHYOU:質問なんでしたっけ!?

 

HDM:何だっけ…。あ!このアルバムで具体的にどんな新しい変化があったか。…だったような…(笑)。

SHYOU:それね!僕はね、いつも韻シストで演奏するにあたって最初のイメージングをすごく大事にしてるんです。僕は、BEATNUTSのジャジーなネタに感化されて「バンドスタイルのヒップホップでこういうのやりたい!」って思ったのが初期衝動だったんですよ。でもそういうのって、感覚だけではだめなんですよね。そのジャンルの音楽というものをちゃんと分析したり、スキルと知識や理論も必要で。そんなことも解らず、ひたすらずっとやってきたんですけど、自分が感化されて目指してきたスタイルが頭でも体感でも理解できるようになったのが今回のアルバムですね。

SAKKON:僕は『STILL NO.1 CHAMPION』が一番印象深い曲ですね。

HDM:私も、アルバム中で一番好きです!

SAKKON:いいですよね(笑)。これは、TAROW-ONE君が作って来たトラックにコザでリリックを書いたんですけど、僕が書いたリリックのなかに「辰吉丈一郎」と「中川家」が出てくるんです。両方とも守口市のアイコンなんですけど、今までリリックの中に地元に関連したことを書くってことが無かったんですよ。ニューヨークのクイーンズについて書いてるMC同様に、いま自分が同じことを音楽でやっているっていうことにゾクゾクしてきて。「これがヒップホップや!」って「キタ!」って(笑)。「NASもこういうことやってたんちゃうん!」て。これ完全に守口市民しかわからん内容なんですけど(笑)、独特の雰囲気とかノリが、この曲のフォーマットとして完成出来ているのがすごい嬉しいんです。…中川家聴いてくれるかなあ。

BASI:聴いて欲しいよな(笑)。

 

HDM:TAROW-ONEさんは?

TAROW-ONE:僕はトラックメイクについてなんですけど、TAKUとSHYOUは自分のイメ−ジ通りに音を作ることが出来るんですよ。僕は全然巧く出来ないから、今回はとにかくひたすら音を作りに作ってみたんです。その経験が今となってはすごい良かったなと思いますね。その数打った中から、2人のMCが音をピックしてくれて、サンプリングしたネタを沖縄にどうやって持っていったらいいのか、とかもTAKUちゃんに教えてもらったりして。でもデータをすごい分厚くしてしまっていたから…沖縄に持って行ったはいいけど「これ使えませんよ」って(笑)。それで、またサンプルを弾き直してくれたりとかしてもらってね。『オ~シッ!』はTAKUちゃんが作り直してくれたんですよね。自分としては、そういう一連の作業を見ていたのがすごい勉強になったので。もう単純に、そのフォローの仕方を見て「おお、スゲエ…」ってなってたっていう(笑)。メンバーの中では僕が一番ヒップホップに浅いから、まだまだ知っていかなあかんことだらけなんですよね。10代からヒップホップを聴いている他のメンバーが話していることが理解できないとか、そういう感覚がずっと続いている感じだったから。だから、新しいことが実体験として理解できるのがすごい楽しい。トラック作るのも最近になってチャレンジを始めたことなので、今回のアルバムは特に新しい刺激をめっちゃ貰えましたね。

 

HDM:新鮮な刺激で言うと、これだけのキャリア(結成18年)がありながらも、今作のアルバムも然り、昨今のコレボレーション然り、ここにきてどんどん新しい展開が始まっているように見えるんですよね。

BASI:それはほんまに思いますね。

SHYOU:うん、まだまだやりたいことも尽きないし。

TAKU:今作のアルバムも、もちろんめっちゃ満足しているけど、ここで「あ~、もう最高。これでもうエエわ」とかはまだまだ思われへん(笑)。これからもっとかっこええ作品作りたいし、作れるって思うし。周りにもむちゃくちゃカッコいい作品を作るアーティストが溢れているし、外部からの刺激もすごい受けるから、それでまた自分らのモチベーションがあがっていく連鎖やと思う。「あ~、もう俺ら、スティービーワンダーよりJAY-Zよりも完全にイケてる」とか思える日がくるのか…というか、達観してしまったらあかんよね(笑)。

RELEASE INFORMATION

日本が誇るヒップホップバンド”韻シスト”6枚目のアルバム『CLASSIX』

韻シスト / CLASSIX
groovillage
TKCA-74370
3000円(税込)
2016年6月15日発売

EVENT INFORMATION

日本が誇るヒップホップバンド”韻シスト”6枚目のアルバム『CLASSIX』

韻シスト 『ONE MAN LIVE -CLASSIX TOUR SPECIAL-』

日程:2016年11月19日(土)
場所:渋谷CLUB QUATTRO
時間:18時開場 / 19時開演
料金:前売4000円(D代別) / 当日5000円(D代別)
お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION 03-5722-9999

日程:11月25日(金)
場所:梅田CLUB QUATTRO
時間:18時開場 / 19時開演
料金:前売4000円(D代別) / 当日5000円(D代別)
お問い合わせ:夢番地 06-6341-3525

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