FIRE BALL|結成 20 周年を迎えてなお挑む“PROGRESS(進化・発展)”
今年で結成20周年を迎えるFIRE BALL。類まれな4つの個性のアンサンブルで“リアル・ミュージック”を体現してきた、横浜を代表するレゲエアーティストグループだ。時代を切り拓き、壁を壊し、新たな繋がりを生み出してきた彼らが、その濃密なキャリアを積み重ねてなお挑む “PROGRESS(進化・発展)”のカタチ。それが、通算10枚目のフルアルバムとなる今作だ。USやジャマイカのトッププロデューサーを迎え、ダンスホールの最先端と原点を表現するサウンドアプローチ。現代社会の問題点に深く切り込みながらも、ウィットを効かせた巧妙なリリックの数々。結成20周年の節目に立ったFIRE BALLが、過去・現在・未来と向き合いながらクリエイトした、その最新表現の裏側に迫る。
■3年前に『Wonderful Days』を作れたことが20年間で1番のターニングポイント
HDM:結成20周年おめでとうございます!20年前の1997年といえば、消費税が5%に上がったり、サッカー日本代表が初めてW杯出場を決めた年でした。
SUPER CRISS:中田ヒデとかゴンちゃんがいた時代だね。あと髪の長い選手…ほら、誰だっけ?
CHOZEN LEE:アルシンド。
STICKO:代表だって言ってんじゃん(笑)。
JUN 4 SHOT:はい。そんな時代に結成しました。
HDM:結成からの20年間で、FIRE BALLにとっての1番のターニングポイントってどこだと思います?
CHOZEN LEE:いっぱいあるね。でも『Wonderful Days』は間違いなくターニングポイントだった。
HDM:前作『one』の収録曲なので、2014年のことですね。
STICKO:この歳になると、昔のことを思い出すのに時間がかかるんだよ。
CHOZEN LEE:俺たちはターニングポイントだらけで、ずっとグルグルまわっている気がするね。まわってまわってまわって、また戻る、みたいな。
SUPER CRISS:今も音楽やれてるのは、そういうことなんじゃない?ずっとターニングポイントがあって、まわり続けていることが俺たちにとって大切なんだと思う。
JUN 4 SHOT:この先も絶対にターニングポイントはあるし。
CHOZEN LEE:そういう意味でも、やっぱり1番のターニングポイントは『Wonderful Days』だと思うよ。
HDM:その理由は?
CHOZEN LEE:リスナーの層が広がったのと、いろんな年代の人から「あの曲いいね」って言われる。今までで1番リアクションが多かった曲だし、自分たちでも年代性別問わず響く曲になると思ってたから。
HDM:曲が完成した時点で、そういう実感があったんですか?
CHOZEN LEE:なんとなくはあった。それをリリース後にどんどん実感していった感じかな。想像もしていなかった繋がりがあったり。
HDM:例えばどんな繋がりがあったんですか?
CHOZEN LEE:髙島屋さんと繋がって、店内放送で『Wonderful Days』をかけてくれたり、ライヴをやらせてもらったり。
JUN 4 SHOT:神奈川県の「いのちの授業」に関わらせてもらったり。
STICKO:横浜セントラルタウンフェスティバルにも、2015年から3年連続でライヴさせてもらってるしね。
SUPER CRISS:今までとは違った場所でもライヴをするようになったから、この。前も神奈川フィルハーモニーの指揮者の人から声をかけてもらったし。
JUN 4 SHOT:FM横浜を聴いてても、今でも週に3、4回はいろんな番組で流してくれてる。
HDM:3年前にリリースした曲が今もヘヴィプレイされているんですね。
JUN 4 SHOT:曲の力って、そういうことなのかなって思う。演歌で昔からずっと歌われているヒットチューンがあるように、俺たちもこの先ずっと活動を続けていけば『Wonderful Days』が本当のヒット曲として認めてもらえるんじゃないかなって思う。
STICKO:俺らに対するネガティヴなイメージも、『Wonderful Days』で崩れたと思う。ダンスホールでレゲエでちょっと怖い人たちっていうイメージも、この1曲だけで払拭できたと思ってる。『Wonderful Days』からFIRE BALLを聴き始めた人が、改めて俺たちのリリックや曲に耳を傾けてくれたっていう実感もあるからね。
CHOZEN LEE:考えてみると、俺たちは曲がターニングポイントなっているんだな。
SUPER CRISS:そうだね。『FIST AND FIRE』も『BIRING IT ON』も、『UNDER THE BLUE LIGHT~ハマのテーマ~』も『BIRDMAN』もそうだし。
CHOZEN LEE:曲がFIRE BALLの世界観を創り出しているわけだからね。
■“PROGRESS”したアルバムを作ること それが今回のテーマ
HDM:今作『PROGRESS』は、どのようなマインドで制作していったのでしょうか?
SUPER CRISS:俺の中では、制作に対する意識が今までと全然違ったかな。FIRE BALLの制作って、シンガーとしてのチャレンジが多くて。やったことないスタイルのダンスホールに挑戦したりとか…。でも最近は自分の立ち位置とかビジョンが明確になってきたから、意識もそうだけで集中力も高かったと思う。もちろん20周年の節目の作品になるわけだから、いいアルバムを作りたいってプレッシャーもあったけど。
JUN 4 SHOT:前作から時間が空いたし、本当にアルバムが作れるのかって気持ちもあった。ソロの動きが多かったから、4人の時間は必然的に減っていたし。
SUPER CRISS:でもそのソロの時間があったから、ひとりひとり気付けたことも多かったと思うんだよね。それはテクニックの部分だったり気持ちの面でもそう。強化していかなきゃいけない部分に対する意識の持ち方も、今までとは違ったと思う。
STICKO:4人で1曲作るのって、まぁ大変な作業だからね。
CHOZEN LEE:4人だと作業が分散されて楽なんじゃないかって思われるけど、そんなことなくて。20年間活動してきたけど、いっこうに楽にならない。リリックを書いたり曲を作るのって絶対にメンタルが影響してくるもの、4人が4人ぴったり一致するのはなかなか難しくて。それに前作『one』がいいアルバムだったから、それを越える“PROGRESS”した作品を作るのは、かなりハードルが高かったですね。
HDM:2017年のMIGHTY CROWNファミリーのテーマでもある“PROGRESS”というワードは、どのように決まったんですか?
JUN 4 SHOT:20周年なんだから、今年のテーマはFIRE BALLが決めろって(MASTA)SIMONに言われて。
CHOZEN LEE:いろんな案が出たね。
HDM:ちなみに他はどんな案が挙ったんですか?
SUPER CRISS:俺は火に関係する“BURN”って言葉を出したんだけど、ネガティヴな意味も含まれるからって理由で蹴られた。
CHOZEN LEE:日本語でも何か挙がってたね。何だっけ?
JUN 4 SHOT:世界平和(笑)。
STICKO:それは普遍的なテーマってことで却下。
SUPER CRISS:で、STICKOが出した“PROGRESS”に決まったという流れだね。
CHOZEN LEE:あれ?でも途中でボツになりかけなかった?
SUPER CRISS:そうそう、言葉的にとらえるのが難しいから、一度は立ち消えそうになったんだけど。
STICKO:(MIGHTY CROWN)ファミリーで新年会やった時に、やっぱり“PROGRESS”がいいんじゃないかって話になって。
CHOZEN LEE:「“PROGRESS”って何ですか?」って聞いてきたスタッフもいたけど。
SUPER CRISS:それを俺らが伝えていけばいいだろうってことで、“PROGRESS”に決まった感じだね。
CHOZEN LEE:口に出せば出すほどしっくりくる言葉だね。
HDM:去年までは、掲げたテーマを年間の活動を通して成就していくスタンスでしたが、今年はちょっと変わりそうですね。
CHOZEN LEE:そう。成就させるって考え方ではないね。なんせテーマが“PROGRESS”だから、このアルバムでも進化させた結果を作品として提示しなきゃいけないわけで。アルバムは作れたとしても、前作『one』と比べて“PROGRESS”した作品を作れるかどうか、そういう難しさはあった。
JUN 4 SHOT:しかも、その結果が出るのはリリースした後のこれからだからね。みんなに聴いてもらって、“PROGRESS”してるアルバムかどうかが決まるわけで。
HDM:でも、みなさんの中では“PROGRESS”している実感はあるわけですよね?
CHOZEN LEE:もちろん。自分らが“PROGRESS”してるって自信がなければ、リリースしないから。音に関しても、今回はかなり進化してると思うし。
HDM:それは?
CHOZEN LEE:ミックスエンジニアを絞った。新録曲に関してオファーしたのは、Miki TsutsumiとDavid Kennedyの2人。感動するくらい音が良かった。
STICKO:DavidはSAMIがプロデュースした『REAL LIFE STORY』リディムの曲のミックスをやってたから、いい仕事するのは事前に知ってたんだけどね。期待以上の仕事をしてくれたね。
SUPER CRISS:Mikiのミックスもいいね。『Don’t Turn Dat Down』を聴いた瞬間、「これだ!」って思ったから。
CHOZEN LEE:俺のソロではお願いしてたエンジニアで、実は高校の同級生なんだよね。昔は音楽とは接点のないテニスの王子様だったんだけど(笑)。
HDM:あとは、今作もMIGHTY CROWNプロデュースという強みも作品に反映されていますよね。
CHOZEN LEE:チームとしてがっちりプロデュースしてくれてるからね。
SUPER CRISS:Supa Dups(※1)のトラックなんて、CROWNからじゃないと絶対にもらえない。
JUN 4 SHOT:SIMONもSAMIも音へのこだわりは凄いよね。常にUSっぽい音を求めてくる。スタジオでも、このCDとこのCDを聴き比べてみなって、具体的なディレクションが入るし。指示が的確なんだよね。
STICKO:世界の第一線でプレイしているわけだし、いろいろ研究しているよ。
JUN 4 SHOT:今回のアルバムはリリックもそうだけど、とにかく音が進化している。そこも楽しんで欲しいね。
(※1)Supa Dups:Dwayne“Supa Dups”Chin-Quee。サウンドBLACK CHINEYの創設者であり、EMINEMやDRAKEらのグラミー作品をプロデュースするなど、USの最前線をクリエイトしている人物。
■今までのダンスホール・チューンを確実に進化させた曲が作りたかった
HDM:ここからは本作『PROGRESS』の収録曲について、何曲かエピソードを聞かせてください。まずはタイトル曲でもある『P.R.O.G.R.E.S.S.』から。
SUPER CRISS:この曲は完全に導かれたね。なぜか俺のパソコンの中に、このオケが入ってて。
CHOZEN LEE:CRISSがあのタイミングでオケを見つけなければ、この曲は生まれてなかったからね。
STICKO:いろいろ曲を作っている中でピックアップしたオケだったんだと思うよ。
JUN 4 SHOT:確か前作『one』を作っている頃じゃないかな。
SUPER CRISS:ダンスホールを作りたいっていうヴァイブスがあったんだろうね。
STICKO:そうそう。『BRING IT ON』とか『BAD JAPANESE』みたいなFIRE BALLらしい曲を考えようっていう。
CHOZEN LEE:この『P.R.O.G.R.E.S.S.』も、アルバムのタイトル曲になるような勢いのある曲をイメージしてたからね。
STICKO:俺ら4人でパンチラインをドカーンと歌うような。
SUPER CRISS:で、俺のパソコンに入ってたこのオケをブラッシュアップしていけば、FIRE BALLらしい新曲になるだろうってことで作り始めた感じかな。
CHOZEN LEE:サビはみんなで歌って。
STICKO:あとは1人ずつバースを考えていくんだけど、そこに俺らの代表曲のパンチラインが入っているのがこの曲のポイント。
HDM:まさに20周年にふさわしい曲になりましたね。
SUPER CRISS:そうだね。だからこの曲をアルバムの頭にしようっていうのは、早い段階で決まってた。
CHOZEN LEE:今回のアルバムは、ダンスホールに偏りたいって気持ちもあったし。
HDM:それはなぜ?
CHOZEN LEE:自分らの中で必要性を感じていたから。
SUPER CRISS:最近はスローな曲が増えたし、ライヴでもミッドチューンは多いんだけど、ダンスホールは曲が限られちゃってたからね。『BAD JAPANESE』とか『FIST & FIRE』から“PROGRESS”させた曲を作りたいという気持ちが強かった。
CHOZEN LEE:フェスとかの最後に、ひとつのオケでみんなでマイクまわす場面ってあるじゃないですか。その時に何を歌うか迷ったら、だいたい『FIST & FIRE』で(笑)。困った時の『FIST & FIRE』を超える『P.R.O.G.R.E.S.S.』になればいいなって。
HDM:先行配信曲としてリリースされている『Don’t Turn Dat Down』も、FIRE BALLの進化したダンスホールですよね。オケはSupa Dupsという。
STICKO:(MASTA)SIMONプロデュースの曲で、やっぱりSupa Dupsのオケが使えるっていうのはMIGHTY CROWNのお陰だね。
CHOZEN LEE:オケの力は絶大だね。まさにUSな音だし。
JUN 4 SHOT:俺もオケのノリを殺さないように気を付けてDeeJayのフロウをのせていった。
HDM:曲のテーマはどう決めていったのですか?
CHOZEN LEE:最初はLil Jonの『Turn Down For What』みたいなイメージがあって。
SUPER CRISS:「Don’t Turn Dat Down」ってワードが出てきてからは早かったね。
JUN 4 SHOT:CRISSのサビで「Don’t Turn Dat Down」が何回もループされるのが聴いてて気持ちいいんだよね。
HDM:曲を繋ぐスキットも、FIRE BALLのアルバムの楽しみのひとつですが、今作の『Skit~イザベラ~』も秀逸でした。
CHOZEN LEE:これはね、Siriといっぱい喋りましたね。Siriから言葉を引き出して、後から受け答えを組み合わせていくという細かい作業で。
JUN 4 SHOT:このイザベラの声は、全部Siriの回答だからね。なかなか欲しい言葉が出てこなくて苦戦したり(笑)。
STICKO:くだらないんだけど、「こういう世界になっていっちゃうのかな」っていう、危機感も煽るスキットだと思う。
HDM:その危機感を煽る『Skit~イザベラ~』に続く曲が、『何がどうしてこうなった?』ですね。FIRE BALLらしいコンシャスな曲です。
CHOZEN LEE:SAMI-Tプロデュースの曲なんだけど、原発も含めて便利ってものの考え方について歌った曲ですね。
JUN 4 SHOT:現代病だよね。
SUPER CRISS:便利さから失うものも多いからね。
CHOZEN LEE:のんきな曲だけど、定義している問題に関しては決してのんきじゃいられない。
JUN 4 SHOT:聴いたら誰もが気付く曲だと思う。
SUPER CRISS:どの世代にも感じる歌詞だと思うね。
CHOZEN LEE:今この世界が抱えている問題を歌っているんだけど、本当にまずいんじゃないかって話で。
STICKO:いつもみんなで話している話題が、そのまま曲になった感じだよね。俺らが日々懸念してきたこと、このままいったら未来はどうなっちまうんだろうってことを歌っているんだけど、俺もこの社会の染まっている部分もあって…。
CHOZEN LEE:歌詞でも「俺もだし」って言ってるしね。
JUN 4 SHOT:そこを理解しているのと、理解していないのとでは全然違うと思う。
CHOZEN LEE:あと「俺もだし」って言っておくことで、あまり文句が出てこないと思って(笑)。
STICKO:一方的に説教されている感がなくなるからね(笑)。
SUPER CRISS:これもテクニックですよ。
HDM:歌いまわしもオールド感があっていいですよね。
STICKO:SAMIが持ってきたSly & Robbieのオケに導かれた感じだね。
HDM:続いて『CHANGES feat. PUSHIM』について。意外にも、FIRE BALL名義でPUSHIMをフィーチャリングするのは今作が初めてなんですよね?
SUPER CRISS:そう。PUSHIMの作品では一度フィーチャリングしているんだけど、それもだいぶ前だしね。
CHOZEN LEE:今回フィーチャリングするアーティストは、PUSHIMがいいかなって。
JUN 4 SHOT:この曲はテーマを解釈するのに苦戦したなぁ。
SUPER CRISS:SIMONがオケを持ってきて、そこから“NEW BORN ME”ってテーマが出てきて、そっからサビの「生まれ変わる もう恐れはしない」って言葉が生まれた感じかな。
JUN 4 SHOT:心の叫びだよね。PUSHIMとの曲にしては、新鮮な曲になったんじゃないかな。
HDM:そしてアルバムを締めくくる曲が『みんなのうた』です。
CHOZEN LEE:サビの「遠くまで聴こえんだろ 遮るものなんて何もねー」って歌詞が思いついたのと同じタイミングで、仲間が亡くなって…。そんな出来事も影響している曲ではあるんだけど、いろんなところで孤軍奮闘して頑張っている人を勇気づけられる曲にしたいっていうのがこの曲のテーマ。
SUPER CRISS:圧力に屈することなく堂々と発言している人とか、バビロンと戦っている人の絵も浮かんだね。
CHOZEN LEE:そういう人が耳にした時に報われる曲にしたかった。
STICKO:きっと聴く人それぞれの想いが重なる曲なんじゃないかな。
JUN 4 SHOT:しょげている人を鼓舞するような、そんな聴き方もできる曲だと思う。
■大阪のシーンとしっかりリンクして俺らの音楽を届けていきたい
HDM:今年は結成20周年。アルバムリリース後の予定は?
CHOZEN LEE:秋には『FIRE CAMP TOUR』もあるし、アルバムリリース後はライヴに向けての時間になるかな。
JUN 4 SHOT:過去の楽曲も沢山あるし、どう楽しいライヴができるかを考えていく時間になると思う。
HDM:ワンマンツアーの前には、今年も8月11日に『横浜レゲエ祭』がスタンバイされています。
JUN 4 SHOT:このアルバムもすでに発売しているタイミングだし、あの短い時間の中で最大限のプロップスを受けられるように、抜かりなく準備しておきたい。
CHOZEN LEE:新曲もやることになるから、レゲエ祭までにどう作り上げていくか、そこに集中する感じかな。ただ、20周年のレゲエ祭だからって意識はそんなにないかな。何の記念日だろうが、レゲエ祭はレゲエ祭。あのステージでは、生半可なことはできないしね。
SUPER CRISS:今年はTarrus RileyとDean Fraserが来るからね。見どころは沢山ありますよ。
HDM:Tarrus RileyとDean Fraserのステージも気になりますが、みなさんが最近気になっている海外アーティストって誰ですか?
JUN 4 SHOT:SIMONからヒップホップのアルバムをもらうんだけど、DRAKEとかFutureの新譜はUS独特の音の良さを感じたかな。あとは、Damian“Jr. Gong”Marleyの新譜も気になってる。
CHOZEN LEE:気になるね。あとはSkip Marleyも。
SUPER CRISS:俺はロックもビルボード系もジャンル問わず聴いてるね。日本のロックアーティストだと、最近繋がったG-FREAK FACTORYはチェックしてる。
STICKO:俺は特定のアーティストはあんまり聴いてなくて、ニュールーツとかダブにどっぷりって感じかな。UKのインターネットラジオで専門チャンネルがあるから、それをずっと聴いてたり。他だとThundercatのアルバムは良かったね。
HDM:大阪の媒体ということで、みなさんの大阪に対するイメージも聞きたいのですが。
CHOZEN LEE:MIGHTY CROWNも言ってるけど、最近は俺たちFIRE BALLを含めて大阪に求められている気がしてて。大阪のシーンってアーティストが沢山いてダンスも沢山あるから、お客さんにとって刺激がいっぱいあると思うんですよ。その刺激が長く続くと、今までとは違うスパイスも欲しくなるわけで。そのスパイスがMIGHTY CROWNであり、俺たちなのかな。実際、俺たちが大阪のダンスに呼ばれる回数が増えてるし。
STICKO:MIGHTY CROWNのダンスでセットを持って行ったけど、昔の大阪の印象を感じたかな。80年代、90年代の曲にも反応してるし、大阪のお客さんの盛り上がり方を観てるとこっちも嬉しくなる。
SUPER CRISS:昔からレゲエって音楽がある街だし、関東とは違うスタイルで若い世代もしっかり繋がっている気がする。アメ村に行けばレゲエが身近にあるし、新しいアーティストもサウンドマンも生まれてる。そういう状況は外から見ててうらやましいなって気持ちもあるし、そこにリンクして俺らの音楽を届けていきたいね。
JUN 4 SHOT:みんな街に出て遊んでるし、オシャレ。音楽とかファッションとかカルチャーを発信する場が身近にあるっていうのは、街としてのパワーを感じるね。
HDM:最後に聞かせてください。グループとして、そして歌い手個人として見据える未来とは?
CHOZEN LEE:やれてないことがいっぱいあるから、そこへの取り組みかな。ソロの制作もそうだし、FIRE BALLも完成しきっているものではないわけで。アルバム制作でもライヴでも、やればやるほど足りてないところが目に付くもの。将来こうしたいって展望はあるけど、目の前のこと、まだできてないことを精一杯やるだけだと思ってる。
SUPER CRISS:俺も次のステップとしてソロを考えていて、LIFE STYLE RECORDSでも何曲か録ってるところ。最近は遊びでバンドを始めたり、音楽をやれる幸せを噛みしめているし、仕事にならなくても音楽は常にやっていたい。なんでも上手くなれば楽しいから、もっともっとスキルを上げていきたいね。
JUN 4 SHOT:俺はあんまり将来のことを決めない性格だし、1日1日のことを大事にやっていくって感覚でしかないかな。いくら将来の展望があっても、思いだけじゃ実現しないしね。それよりも、今やらなければいけないことをしっかりやって、貪欲に自分のスキルを上げていくことが大切だと思ってる。
STICKO:20年間やってきて培ったことはデカいし、『Wonderful Days』で新たな扉が開いたのも事実。その開いたドアに向けて発信していきたいって気持ちも強いね。その一方では、ソロの動きとして俺の好きなアングラな世界でやりたいことも多い。結局、俺の音楽の原点はサウンドシステムなんだよね。スピーカーを作って、ターンテーブルにレコードをのせて音を出すこと、それが一番心地いい。当然、FIRE BALLは俺にとっての軸なんだけど、SHADOW SHOGUN(※2)とかSCORCHER HI-FI(※3)にも力を入れていきたいし。あとはアコースティックバンドのFried Jamming Fishで感じている音楽を奏でる楽しみも俺には必要だし、FIRE BALLにも活かせていることだと思ってて。やっぱり常に音楽していたいし、やめられない。昔どっかのインタヴューで「俺はスーパー音楽人になりたいんだ」なんて言ったこともあったけど、やっぱり俺はそういうことなんだと思うよ。
(※2)SHADOW SHOGUN:STICKOとGUAN CHAI(SingJay/トラックメイカー)によるサウンドクリエイトユニット。
(※3)SCORCHER HI-FI:STICKOとMIGHTY CROWNのCOJIE(セレクター)によるサウンドユニット。
RELEASE INFORMATION

FIRE BALL / PROGRESS
LIFESTYLE RECORDS
MCLS-0001
2700円(税別)
2017年7月19日発売
EVENT INFORMATION

FIRE BALL 20th Anniversary
『FIRE CAMP TOUR 2017 -PROGRESS-』
日程:2017年10月7日(土)
場所:NAGOYA CLUB QUATTRO
時間:開場17時 / 開演18時
料金:4500円(D代別)※小学生以下無料
出演:FIRE BALL with HOME GROWN
お問い合わせ:JAIL HOUSE 052-936-6041
日程:2017年10月8日(土)
場所:UMEDA CLUB QUATTRO
時間:開場16時 / 開演17時
料金:4500円(D代別)※小学生以下無料
出演:FIRE BALL with HOME GROWN
お問い合わせ:グリーンズ 06-6882-1224
日程:2017年10月15日(土)
場所:AKASAKA BLITZ
時間:開場16時 / 開演17時
料金:スタンディング5500円(D代別) / 指定席5500円(D代別)
※スタンディングのみ小学生以下無料
出演:FIRE BALL with HOME GROWN
お問い合わせ:KM MUSIC 045-201-9999