“韻シスト” vs “COCOLO BLAND HARA-Q”レペゼン大阪ヒップホップ座談会

“韻シスト” vs “COCOLO BLAND HARA-Q”レペゼン大阪ヒップホップ座談会

interview by TETSUTOKU MORITA photo by JUNYA S-STEADY

来年、結成20周年を迎える韻シストが、通算7枚目のアルバム『Another Day』を先日リリースした。ギター、ベース、ドラムのバンドサウンドから生まれる楽曲は、ヒップホップという芯に、ファンク、ソウル、レゲエなどブラックミュージックの影響を昇華したメロディアスなアレンジが調和。懐かしい友人から届いた手紙のごとく心へ染み込んでくる。ほどよい距離感でリスナーに寄り添い「大丈夫だよ」と耳元でささやきかけるような優しさと説得力。曲が入り口となって、音の向こうにある世界へと誘う。そんなアルバムと出会ったのはいつぶりだろうか。『Another Day』がまとうムードは、間違いなくメンバーが仲間やシーンの中で培ってきたもの。その空気感に迫るべく、韻シストと交流が深い『COCOLO BLAND』総帥、HARA-Q氏を迎え座談会を行った。

 

 

HDM:えーと、HARA-Qさんは少し遅れるそうなので、まずは『Another Day』のお話から。

一同:うーす!

 

HDM:では、アルバム『Another Day』のテーマから。

Shyoudog:BASIと話してた時に、「バンドが来年で結成20年、人間でいうと成人やな」という言葉がぽろっと出て。「大人になるんや」みたいな。そう考えると、特別な感情になって。今までずっと「前へ前へ」でやってきたけど、一度振り返ってもいいんちゃうかなと。

 

HDM:それは昔のアルバムを聴き直したり?

Shyoudog:それもありますね。結成当時は単純にスキルが追いつかなくて、思い描いていたサウンドができず歯がゆかったんですが、逆に評価を頂くことも多かった。それで改めて聴くと、良いとこもあるねって。

 

HDM:自分たちが狙ったのとは違う部分で評価されていた。それはどのあたりだったんですか?

Shyoudog:一言でいうと、“未完成”なところかな。

 

HDM:未完成…。

Shyoudog:普通、練習ってゆるくなる為にしないじゃないですか。「こんな音楽がやりたい」って思い描いたサウンドを作る為に修行すると思うんです。

 

HDM:なるほど。それは音楽以外の表現にも言えそうですね。

Shyoudog:長い時間練習を重ね、技術的にも気持ち的にも思い描いていることができるんじゃないかっていうところまで充実して。

 

HDM:バンドが円熟期を迎えた。

Shyoudog:そうですね。それで韻シストの“クラシック”ができるのではないかと考えて、前作『CLASSIX』ができたんです。

 

HDM:思い描いていたサウンドが演奏できるようになった。

Shyoudog:はい。それで振り返ってみたら、逆に“ゆるさ”を出すっていうのも難しいなと思って。昔は未完成だから(ゆるさが)出るところがあった。今回はそこを意識して、肩の力を抜いて、「ゆるいサウンド」を目指すところから始まりました。そこから派生し、ジャムから曲を作るというバンドでしかできない方法にトライしてみたり。

 

 

HDM:COCOLO BLANDのHARA-Qさんとやられた『STUDIO韻シスト』をYouTubeで拝見したんですが、ジャムセッションから曲が生まれる瞬間が見えて面白かったです。

Shyoudog:そういうのもあるかもしれませんね。

 

HDM:『STUDIO韻シスト』のコンセプトアルバムを5月末に、『Another Day』を7月半ばと短期間でリリースが続きましたが、制作はどのように?

Shyoudog:同時進行じゃなくて、COCOLO BLANDの企画をやり遂げてから、自分たちのアルバムに取り掛かりました。この前も話したんですけど、むちゃ短かかってんな。

TAKU:1カ月くらいですね。めちゃくちゃ早かった。

Shyoudog:そう、自分たちでもびっくりしたんですが。

 

HDM:『Another Day』で新たに挑戦されこと。特に印象深かったエピソードは?

サッコン:ギターのTAKUちゃんがスケジュールがタイトな中、「こういう曲をやりたい」って具体的なアイデアを提示してくれました。以前なら、大体MCは自分の好きなサイズのラップを書いて、それを後からどうしようか決めてたんですけど、今回は初めに「12小節ずつ、こういう感じで」って具体的なディレクションがありまして。

Shyoudog:でも、その「12小節」っていうのが伝わってなかったりね(笑)。

TAKU:シンプルに話をちゃんと聞いてもらえてなかった瞬間はありました(笑)。

サッコン:長野のフェスに呼んでもらった時に、「時間があんまりないからそこでプリプロ、パソコンとマイクを持っていってデモ録りをやりましょう」ってことになりまして。山小屋で…。

TAKU:山小屋というか、民宿ね(笑)。

サッコン:そこで気分良くなって16小節くらい書いて、下に降りて行ったんですね。みんながレックしているところに。そしたら開口一番BASIが「あれ、16小節もやっちゃうの?」って。「あ、俺、頑張りすぎた?」みたいな(笑)。

BASI:1階と2階にメンバーが分かれてたんですよ。で、上からサッコンの声が聞こえて。ドラムのTAROW君と「エエのできたわ!」みたいな。で、タッタッタッタッと降りてきて、「16やで」って言うたら秒殺で帰ってきましたね。それで全部書き直し(笑)。

 

HDM:4小節だけ短くするというわけにはいかないですもんね。

BASI:僕も「16でエエんちゃうん」て思ったんですよ。2階からサッコンの嬉しそうな声も聞こえてたんで。でもTAKU君が「ここは12なんで」って。

TAKU:せっかく書いてくれはったし、16にしようかっていうのは僕にもあったんですよ。でも、それは今までもやってきたし。何も進まんと思って。

BASI:(歳)下の子にバーンと言われてね(笑)。

 

HDM:せめぎ合いですね。

サッコン:つむぎ合いです。

 

HDM:作家と編集さんの関係ぽくもある。

サッコン:あーそうかも。

TAKU:今までにないことをやる為にこれまでの気持ちを捨てて、「何やアイツ」って思われてもいいから、ここは12小節を推すべきだと思って。

BASI:2階へ上がっていく背中を見ててんけど、ちょっとだけ首傾げてたで(笑)。

TAKU:そらそうでしょうね(笑)。

サッコン:でも、その甲斐あって長野から大阪に戻ってきて、凄く良い歌詞が書けました。

 

HDM:そうしてできたのが『Call me』。あの曲を聴くと韻シストのファミリーになったような感じがします。あと、『are sore kore』も面白いですね。

サッコン:あれもTAKUちゃんが「こういうフックで、同じフロウを繰り返すのって面白くないですか」って。今までの韻シストではなかったリズムやし、ちょっと傍から見た韻シストの紹介みたいな曲にディレクションしてくれました。

 

HDM:曲は最初にイメージがあって作られるんですか?

TAKU:色々ですが『are sore kore』には完全にありました。

サッコン:前作までは、みんながその場で白いキャンバスに色を足していくって感じの制作でしたが、今回は画角であったり、それぞれの1番カッコいいカラーを持ち寄って作った感覚があります。

Shyoudog:BASIのメロディセンスとかサッコンの歌とか。昔から韻シストとしてアウトプットしたかった部分に挑戦しました。まだ全部は見せれてないけど、今回、その片鱗は見せれたんじゃないかなっていうのはあります。

 

《ここでHARA-Qさん登場》

 

HARA-Q:ごめんごめん、おまたせ~!

 

HDM:ちわー!今『Another Day』の話をしていたんですが、聴かれました?

HARA-Q:もちろん。僕は「週末まで一直線」(『Party is…』)がめっちゃ好き。あれが1番エエわ!PVが浮かんだくらい(笑)。

Shyoudog:ハハ!じゃあそれ作りましょうよ(笑)。

 

HDM:「週末まで一直線」は、韻シストのバンドライフを歌った曲ですね。

HARA-Q:The Roots(米国フィラデリフィア出身のヒップホップグループ。生演奏にラップを乗せるバンドスタイルが韻シストとの共通点)の『The Seed(2.0)』ぽさもあるし、韻シストって感じでめっちゃ好き。わかりやすいし。今まであんまりなかったというか、初めてちゃう?こういうの。

Shyoudog:そうですね。実は今まで避けてきたところでもあって。

HARA-Q:裏打ちでギターのカッティングを大胆にかましてるん、めっちゃエエ!

 

 

HDM:さて、韻シストは来年で結成20年、COCOLO BLANDは昨年15周年を迎えられましたが、そもそもどんな出会いだったんですか?

HARA-Q:最初はサッコンとShyou君やったかな。ItoI(大阪にかつてあった老舗クラブ)で2人に会いました。

Shyoudog:ぼくらが遊びに行ってて。

HARA-Q:めっちゃ覚えてるねんけど、サッコンがでっかい白のポロシャツ着て短パンにディップで髪の毛ツンツン、VISION OF DISORDER(米国ニューヨーク出身のハードコアバンド)みたいな。

TAKU:あー、懐かしい!

HARA-Q:こいつらそういうの好きなんやなって、めっちゃ覚えてる(笑)。

サッコン:もう15年前くらいですね。

HARA-Q:COCOLOが始まった瞬間くらいやね。

サッコン:アメリカ村の路上でいきなり「韻シストやんな?」って声かけてもらって。

HARA-Q:あれ、あの時誰に(あいつらが韻シストやって)聞いたんやったっけな…。

Shyoudog:GEBOさんちゃいます?「紹介したいヤツおんねん」みたいな感じで。それでHARA-Qさんと初めてお話して。「韻シスト大阪なん?東京やと思ってた」って。

HARA-Q:うそ?そんなん思ってなかったけどな(笑)。

Shyoudog:ほんまっすよ。それで「ちょっと時間いける?」って。連れて行かれた駐車場で車のトランクをガンと開けたら、COCOLOのTシャツがぶわ~とあって、「好きなん選んで」って。それ以来、よくお店に遊びにいかせてもらうようになって。

HARA-Q:そう。韻シストはCOCOLO BLAND初のサポートアーティストでもあるし、リーダーのShyou君が第1号モデルやねん。

 

HDM:HARA-Qさんが韻シストを知られたのは?

HARA-Q:韻踏合組合のERONEとかCASPERとか、その辺と20年くらいの付き合で、彼らと遊んでる時、BLAST(1999〜2007年に発行されたヒップホップ専門誌)で、片面が韻踏、もう片面が韻シストってページを見てん。それで初めて韻シストを目にして、どっちも大阪で、どっちも韻やし、知りたいなと思ったのがキッカケ。前から名前は聞いててんけど、実態を知ってから『Relax Oneself』(2002年発売の韻シストのセカンドミニアルバム)をタワレコで買って。ほんで、「こんなんやってるヤツらがいるんや」って。それで繋がりないかERONEとかに聞いたりしてて。

 

HDM:韻シストと韻踏合組合、当時はシーンが少し違いましたもんね。

HARA-Q:そう。それはすごい覚えてる。

 

HDM:HARA-Qさんから見た韻シストの魅力は?

HARA-Q:そらもう“バンド”やね。そこでいわゆる『GUDGMENT NIGHT』(1993年に発売された映画『GUDGMENT NIGHT』のサントラ。メタル・オルタナティヴ系のロックバンドとヒップホップアーティストがコラボレーションし話題を呼んだ)やないけど、ラウドなラップではないバンドの人たち。それが貴重やなと思って。

 

HDM:DE LA SOUL×TEENAGE FANCLUBの枠?

HARA-Q:『GUDGMENT NIGHT』でいうたらね。でも、あれもロックやん。凄い好きやねんけど、どっちかいうたらBrand New Heavies(イギリス出身のアシッドジャズ・ソウル・ファンクバンド。生楽器の演奏にラッパーをフューチャーをした1992年発表の『Heavy Rhyme Experience』は名盤)の方。「こんなんいるんや!」っていうのがとにかく第一印象。

 

HDM:それから韻シストとCOCOLO BLANDの関係が始まった。

Shyoudog:はい、仲良くなっていきましたね。

HARA-Q:ギターのTAKU君と、ドラムのTAROW君はまだおらへんかってんな。あと、BASI君が最初人見知りぽくって(笑)。

BASI:僕、人見知りっすか(笑)。

HARA-Q:いや、何か距離感あってん。「こいつ、(お店に)こーへんやんけ」みたいな(笑)。でも、何かで「泉州なんですよ、僕」って聞いて、俺も堺やから地元が近いし、そっから急に。

BASI:親近感がわいて(笑)。でも、実はずっと…HARA-Qさんあの話していいです?

HARA-Q:え、何?

BASI:実は、ぼくHARA-Qさんのラップをずっと聴いてたんですよ。

HARA-Q:あ、それは止めましょうよ(笑)。

BASI:レコードでずっと聴いてて。

 

 

HDM:僕もHARA-Qさんは昔、ラッパーだったって聞いたことあります。

BASI:HARA-Qさん、ほんとカルチャー全部やってるんですよ。ラップも「ここで韻踏むんか!」みたいな(笑)。HARA-Qさんのパートだけバッチバチに踏みまくってるんです。94〜95年の話なんですけど、大阪のヒップホップシーンて当時まだハードコアのカルチャーとかが混じってて、日本語ラップっていうのがまだあまり特化されてない時期だったんですが、そんな時に「うわ、これ何て言ってるん!?」ってくらい韻踏みまくってて(笑)。リリックはあえて言わないですけど、内容もトピックが面白くて。それで「マジっすか!?」ってなって、そっからですね。

 

HDM:HARA-Qさんは憧れの人だったという。

BASI:そうなんですよ。今やCOCOLO BLANDってどこでも見ますけど、ほんとCOCOLO BLANDが始まる瞬間の話ですよね。僕らも韻シストでまだ結果を出せてない時で。

HARA-Q:で、何やしてるうちに(韻シストが)メジャーにバーンって行ってね。

BASI:そうですね。

HARA-Q:その時めっちゃ覚えてんのが、COCOLO BLANDの立ち上がり当初は、言うたら“アカン”人たちばっかり着てたのに、彼らが服を着だしてからちょっとづつイメージが変わってきて。メジャー行ってからなんて凄かったよ。それまで来るはずもなかったような普通の女の子がお店に現れて、「韻シストの大ファンなんです」って。それが凄い嬉しかってさ。「お前ら、ありがとうな!」って、ちょっと思った(笑)。

BASI:ちょっと(笑)!僕らからしたら、韻踏とちゃんと繋がれたのも明らかにHARA-Qさんですしね。それまでは、僕らも向こうも同じ大阪、CDショップでも絶対隣同士なんですけど、何故か(知り会う)機会がなかった。それがココロナイツ(COCOLO BLAND主催のイベント)に呼んでもらったりで、今では一緒に曲やったり、自分らのパーティーに出てもらう関係になりましたし。

HARA-Q:僕からしたらBLASTの誌面をそのまま形にしただけ。どっちも大阪で現在進行形で同じことが起きてる。自分はどっちも好きやし、何かそういうのをアピっていきたいなと思ってん。

 

HDM:現在進行形で起きているシーンの点と点を結んで新しい線を引く。このテーマは、韻シストが日本各地のラッパーとぶっつけ本番でセッションを行う『STUDIO韻シスト』とも通じるように思います。あの企画はどうして生まれたんですか?

Shyoudog:これもHARA-Qさんのアイデアやと思うんですけど。

HARA-Q:なんで思いついたんやったかな…あの時、『HIDADDYひとり旅』(韻踏合組合のHIDADDYがカメラを片手に全国のMCとフリースタイルセッションを行うロードムービー)が出て。

TAKU:あ、それくらいの時期でしたね。

HARA-Q:実はあの『HIDADDYひとり旅』の第1弾は僕が編集してるんです。

一同:えー(笑)!

HARA-Q:オペレートしたわけじゃないけど。その頃、とあるラッパーのPVを作って、それを見たHIDAから「HARA-Qさん、編集できますよね?」って。当時はあんな凄いもんになるとは思ってなくて。

 

HDM:約10年前の話ですね。

HARA-Q:HIDAが撮ってきたもの凄い量の映像を見ることから始まって。初めは「えらいもん引き受けてもうたなぁ…」って思っててんけど、見だすと、めちゃくちゃ面白くて。HIDAの詳しい解説もあって、それまで全然知らんかった全国のフリースタイルラッパーにどんどん詳しくなっていって。

 

HDM:映像って編集する人が1番見ますもんね。

HARA-Q:そうして『HIDADDYひとり旅』がドーンと出て話題になって。「COCOLOでも面白いことができたらエエな」って思ってたらHIDAが、「HARA-Qさんも何かやった方がエエんちゃいますか」って。それでその頃ミックステープが流行りかけたから、『COCOLO DUB』って音源を作ったり。それにはBASI君にも参加してもらってね。

BASI:はい。

HARA-Q:でも『COCOLO DUB』はあくまでもスタジオ内で終わることやったから、なんかもっと“ライブ感”のあることがしたいなと。

Shyoudog:そっからやったんですね。

 

HDM:韻シストが待つスタジオにラッパーが現れてセッションする、という内容はそこから始まったんですね。

Shyoudog:当初からMCが誰が来るかは僕らに内緒でしたからね。

HARA-Q:確か第1回目が、HIDAとERONEやって。

TAKU:懐かしい…9年位前かな。

HARA-Q:5、6回はやったよな?当時はYouTubeも今ほど普及してなかったし、スタジオの人にライブミキシングをお願いして、音だけをサイトで聴けるようにしてました。

 

HDM:その10年前の伝説の企画を今回再始動したのは?

HARA-Q:COCOLO BLANDが去年15周年だったんで、CASPERから始まり、TERRY(THE AKI-06)君、卍LINE、チプルソ、YOUBOB…と、COCOLOがずっと繋がってきたアーティストとコラボ商品を出したんですが、その裏で、「韻シストは第1号やし何かせなアカン」と思ってて。それやったら『STUDIO韻シスト』しかないやろうと。今なら当時はかなわなかったラッパーたちとも繋がれるし、これは面白いぞって。2015年の暮れ、15周年を迎える前にみんなに伝えたと思う。

 

 

TAKU:覚えてます。集まったのえらい寒い日やったから。

HARA-Q:決起集会ね。「10年前の『STUDIO韻シスト』をそのままやっても面白くないからビデオを撮る。あと、終わったらアルバムも出す。その場で撮ったライブ録音じゃなくて、そこからちゃんとした音源にして」という話で。

サッコン:うん、「15周年で『STUDIO韻シスト』を1年スパンでやるから、協力してくれ」って話でね。

HARA-Q:最初はリーダーのShyou君に言うてんな。ほな「やるっすよ!」って言ってくれて。ピンピン行くでーみたいな。いきなりテンションガーンって(笑)。

Shyoudog:僕も「今なら絶対にいける」っていうのがあったんで。

 

HDM:タイミングもばっちりですもんね。

TAKU:でも、(決起集会)千日前のビックカメラ前で集合やったんですけど、大阪で30年以上生きてきて、リーダーがビックカメラの場所を知らんかったのにはビックリした(笑)。

Shyoudog:それでなかなか合流できなくて…。

TAKU:コーヒー飲みながら寒い中待たされてね。

Shyoudog:やる気はまんまんなのに…(苦笑)。

 

HDM:出演者の人選などプロデュースは COCOLO BLANDとHARA-Qさんが担当。HARA-Qさんがラッパーを迎えに行くところから始まり、韻シストは何も知らされずスタジオに待機し、現れたラッパーとセッションする。音楽とドキュメンタリーの楽しさが『STUDIO韻シスト』の魅力だと見ていて感じたんですが、1年間やられて印象に残ったことは?

Shyoudog:バンド側も「MCがこうきたらこう返そう」みたいなのを、ある程度は固めてたんです。でもHIDADDYの回の時に、「考えてもしゃーないな」ってなりました(笑)。

 

 

HDM:3回目ですね。

Shyoudog:自分らの中でのシュミレーションが、1回目のpekoとRHYME&Bでは結構いい感じでハマるところもあって。「あ、この感じでいこう」って方向性が見えたんです。合図を決めたりしたんですが、HIDADDYとTAKA(Willy Wonka)の時に、「これ意味ないな…」って。

TAKU:うん、ほんまに思った。軽く(HIDADDYがそれを察して)おちょくってましたもんね(笑)。

BASI:「こっちのマイクの方がエエと思う」とかゴネたり。

TAKU:変えてた、変えてた(笑)。

 

HDM:音源制作にあたって韻シストとHARA-Qさんはどんなお話を?

HARA-Q:最初はめっちゃアナログな機材で凄く荒いの作ろうと。ラッパーの息遣いや咳も入っちゃうくらい、緊張感があるものにしよかって考えててんけど、やっていくと変わっていきましたね。

 

HDM:それはいろんなセッションをする中で?

HARA-Q:そうですね。ひとつ例を出すと、LEON a.k.a. 獅子って10代のラッパーがおるんですけど、彼が出た瞬間、「これは、ここに合わせて、今のことせな」ってなりましたね。「俺らおっさんのエゴを押し付けても絶対にプラスにならん」って。逆に、今の韻シストのテクノロジー、テクニック、考え方を使ったサウンドにしようと。それまではフォークとか、ウッドベースでめちゃくちゃいぶし銀な、それこそThe Rootsの『Organix』(1993年発売のThe Rootsのファーストアルバム)みたいに、マイクを立てただけで録音するってイメージやってんけど、それではいかんってなって。

 

 

HDM:実際、やってみて新たな発見があったと。

HARA-Q:うん。やっぱやらんとわからへんことだらけでね。結局はセッションが曲を決めるから。

 

マネージャー:すみませーん、そろそろリハの時間でーす!

 

HDM:あ、まだまだ聞きたいことあったのですが、タイムリミットみたいですね…では最後に、韻シストへHARA-Qさんからメッセージをお願いします。

HARA-Q:せやね…これからもお願いします(笑)。COCOLO BLANDが20周年の時にまた何かできたら。

 

HDM:4年後ですね。

HARA-Q:まあ、別に言うことじゃないけど、終わってないしね。

Shyoudog:そうですね、まだまだっすね。

BASI:あのー、『STUDIO韻シスト』は一旦区切られたんですか?実は僕まだ後遺症が…。

Shyoudog:後遺症って?

BASI:いや、またスタジオ開けて誰か来るんちゃうかなって思うんすよ。まだぜんぜん(幕が)降りてない。

TAROW-ONE:こないだカレンダー見てたら、終わったはずの『STUDIO韻シスト』がスケジュールに書かれてて驚いたことありました。

Shyoudog:俺ら番外編やるのを知らんかったから、「え、何これ?」って(笑)。

 

 

HARA-Q:ハハハ!リアルに今のところ予定はないです。今日現在は。

TAKU:明日アップデートされるかも(笑)。

HARA-Q:いつ、ピーンってくるかわからへんで(笑)。

Shyoudog:遊びはいっぱいやりたいですね。刺激的な。

RELEASE INFORMATION

“韻シスト” vs “COCOLO BLAND HARA-Q”レペゼン大阪ヒップホップ座談会

韻シスト / Another Day
徳間ジャパンコミュニケーションズ
TKCA-74520
3000円(税込)
2017年7月19日発売

RELEASE INFORMATION

“韻シスト” vs “COCOLO BLAND HARA-Q”レペゼン大阪ヒップホップ座談会

V.A. / STUDIO韻シスト THE ALBUM
COCOLO BLAND
MCKD-008(CD)
3000円(税別)
2017年5月24日発売

V.A. / STUDIO韻シスト THE ALBUM
COCOLO BLAND
MCKD-009(2LP)
2600円(税別)
2017年9月下旬発売

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