窪塚洋介|コドナの言葉

窪塚洋介|コドナの言葉

interview by MIYOSHI CHINATSU photo by JUNYA S-STEADY

 

“言葉”を使うことについて

 

HDM:言葉っていうものに、もうずっと幼いころから影響を受けていたということなんだけど、小学生で『三代目魚武濱田成夫』を愛読してたって書いてあったね(笑)。それって、親からの影響とかではなくて?

窪塚洋介:本屋が好きな子どもったんだけど、漫画コーナーをふらふら流しながらなんとなく別の陳列棚で見たのがその本で。なんで手にとったのかっていま考えるとわかんないんだけど、なんか気になったんだよね。で、そこに書いてあった詩にくらっちゃって。…なんて詩だったっけな?「君が前の彼氏としたキスの回数なんて 俺が3日で越えてやるよ」とか「世界が終わっても心配すんな 俺の店は開いてる」とか(笑)。なんか、凄く強いものを感じて。それで「これ買おう!」って。そこにあった言葉はどれもパワーがあって、キラキラしてて。「言葉って凄い」って思わせてくれた人だよね。

 

HDM:自分のマインドを鼓舞してくれる着火剤のような。自分で詩や何かで言葉を使うってことはしなかったの?学校の作文とかもあっただろうけど。

窪塚洋介:一番最初に自分で書いた言葉で覚えているのは、ジャンプだったかマガジンだったか、連載マンガのキャッチフレーズを考えるって企画があって。それに当選したらスーファミ(スーパーファミコン)がもらえるっていうから応募してみたら、俺、スーファミもらえたの(笑)。

 

HDM:凄いね(笑)!ちなみに何てキャッチフレーズだったかおぼえてる?

窪塚洋介:えーとね、たしか…「友情は根性の源だ!」だったかな(笑)。

 

HDM:知ってか知らずか韻もちゃんと踏んでるし(笑)。

窪塚洋介:そしたらさ、俺のまわりの友だちが「おまえ、スーファミ当たってんじゃん!」ってなって、その企画に応募するのが一時期すごい流行ったんですよ。で、俺の親友も『ジャングルの王者ターちゃん』のキャッチコピーでスーファミもらってた(笑)。またそのキャッチコピーが凄く良くてさ。たしか、主人公のターちゃんの嫁がジェーンって言うんだけど、「ジェーン以外はかかってきなさい」だったかな(笑)。

 

HDM:恐妻家のサラリーマン川柳みたいだけど、いいね(笑)。

窪塚洋介:そうそうそう(笑)。なんかいまでも通用するよね。で、そいつはいまもうちのスタッフとして俺を支えてくれています。

 

HDM:そういうことを経て、もっとちゃんと…しっかり自分で自分の言葉を使うようになったのは?リリックを書き始めたのは19歳とあったけど。

窪塚洋介:リリックという形式はそうだね。あとは20歳のころに『20』って本を書いたのと。凄い青臭い言葉がパンパンに詰まってんだけど、生まれてから20歳を迎えるまでの自分の中に溢れそうになっていた言葉がそこにはあるんだよね。

 

HDM:洋介くんがこれまで出してきた著書に関しては、その当時の自分を自分で掘り下げたり、じっくりと見たりする作業だったと思うんだけど、洋介くんはことごとく刷新を繰り返している人のように見えるから、そう考えると今作が“最新の自分”ってことになる?

窪塚洋介:って言ってもこれ、もう1年前なんだよね。

 

HDM:そうか、じゃあこの時点からはまた新しくなっている…

窪塚洋介:そうだね。いつも絶えず変化をしていくことは止められないんだけど、いまの…そのときの自分をちゃんと捕まえようとして、何がしかの表現という形で何かを残そうとしてる。それが形になって人の目にふれたときには、それが生まれた時点での自分とは少し違っているのかも知れないんだけど、確実に経てきた自分の断片をみんなでシェアできればいいなって思う。いまはほんとうにね、ディス(非難)も含めてラブだと思えるようになってきてて。自分と相反する視点の中に新しい感覚を見つけるっていうか、多面的に物事を見れるいい機会なんだと思う。ただのやっかみとか傷つけることしか目的が見えないような言葉はスルーするけど。

RELEASE INFORMATION

窪塚洋介|コドナの言葉

窪塚洋介 / コドナの言葉
サンクチュアリ出版
251頁 / 188×132mm
1620円(税込)
2018年6月7日発売

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