窪塚洋介|コドナの言葉

窪塚洋介|コドナの言葉

interview by MIYOSHI CHINATSU photo by JUNYA S-STEADY

 

日本・海外・新しい場所

 

窪塚洋介:海外のシーンは凄く自分の肌に合ってるって思う。でも、ハリウッドの映画界を経験したことで、日本のクリエイションに対する繊細な感覚やセンスの高さを改めて知った。日本はアメリカに比べて制作予算が少ないから、与えられたものでできることを…みたいに萎縮してしまうことがあるのかも知れないけど、日本のカルチャーが持っているクリエイションセンスは絶対に胸を張るべきだと思う。自分にとって海外のシーンが肌に合うっていうのは、発言力や表現に対する許容。影響力のある表現者が公的な場面であっても、例えば政治的な発言や見解を堂々と呈することを正当なものとして受け入れる姿勢。そういうことを、日本は大衆の批判だけに過剰反応しすぎて抑えつけすぎると思うし、多面的に物事を考察する能力を低下させている大きな要因だって感じる。

 

HDM:洋介くんはいろんな方法で自分を晒す姿勢を崩さなかったよね。メディアと大衆の恰好のネタにされることなんて承知のうえで(笑)。

窪塚洋介:(笑)。このあいだ、某大手メーカーからCM契約の話がきたんだけど、そのときに俺の過去の発言や行動をまとめたぶ厚い紙の束を渡してきてさ。「契約に際して、過去のこのような言動は控えていただくようお願いします」みたいなことで。

 

HDM:発言をまとめたって、いつの、どの?

窪塚洋介:いままでの全部じゃない?雑誌のインタビューからテレビから。俺の言動すべてをファイリングしてて(笑)。マネージャーから「これ、どうします?」って聞かれたんだけど、即答で「おととい来やがれって言っといて」って(笑)。

 

HDM:「節度ある言動を」と伝えたかったんだろうけど、やり方が鬱陶しすぎるね。

窪塚洋介:だってさ、それを全部経ていまの自分があるのに、それを契約金で封印させたり口閉じさせたり、人格変えるように仕向けるとかふざけてんのかってなるじゃん。だいたい、こんなことしてくるのになんで俺にCM出てほしいとか思ったの!?って(笑)。

 

HDM:ほんとうに(笑)。

窪塚洋介:海外のシーンに話は戻るけど、許容で言えばそういうところも海外だとそこまで問題視されない。過去に何をしてようがどんな状況だろうが、いまこの時点でのそいつの存在の仕方こそが重要というか。

 

HDM:たしかに、海外誌はインタビューでも結構ガンガン書いているよね。ドラッグについてだろうが、セックスについてだろうが。

窪塚洋介:そうそう。日本は大企業になればなるほどガチガチに萎縮してしまうように思う。ただでさえ小さい国土なのに、その中でさらに小さくて狭い考えや良識で生きていくのって大変だなと思うよね。それが日本独自の国民性でもあるんだろうから、ムカつくとかそういう次元じゃないけどね。

 

HDM:マーティン・スコセッシ監督の『沈黙』での主要キャストを演じたことで、海外という新しい可能性が確実に増えたよね。

窪塚洋介:有り難いことに。まだ詳細は話せないんだけど、海外の連続ドラマの撮影がもうすぐ始まります。撮影のためにしばらくロンドンに行くことになってて。クリミナル・サスペンスなんだけど、ほんとうにいい役なんで演じるのがいまから楽しみ。

 

HDM:本に書いてあったけど、何かを判断するときに“別の自分”がいろいろ言ってくるんだよね?

窪塚洋介:そうそう。「お前それでいいの?」「どう思ってんの?」「マジでワクワクしてんの?」って。一番遠慮なくガンガン言ってくるんだけど、いつも側にいて、一番理解してくれるヤツ。でもこいつは絶対にみんなにもついてる。一番大事なことを気づかせてくれる存在っていうか。

 

HDM:…あ!そいつがきっと“コドナ”だ!

RELEASE INFORMATION

窪塚洋介|コドナの言葉

窪塚洋介 / コドナの言葉
サンクチュアリ出版
251頁 / 188×132mm
1620円(税込)
2018年6月7日発売

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