TENG GANG STARR|可能性を信じて ここに始まるストーリー
「海外での可能性を模索してるし、そうやってどんどんステップアップしていかないと、現実が夢に勝っちゃって、結局シビアじゃん。なにが『夢に生きる』だよっつう話なんで」(kamui) 「現実を見ろ」と人は簡単に言うけれど、ままならぬ現実を前に、タテとなるのはやっぱり夢だ。TENG GANG STARRの2人もまた、夢をタテに、カラフルでポジティヴなファーストアルバム『ICON』を完成させた。ひとつひとつ考えを巡らせるkamuiと、あっけらんと話すなかむらみなみ、キャラも人間性も正反対な彼らとの尽きせぬ話は、こんなところから始まる。
HDM:kamuiさんは幼いころどんな子供でした?
kamui:俺は走るのが超好きで、物心ついたころからかけっこはずっと一等賞とりまくってて。自分がずっとおんなじ場所にいたくないなっていうのがあったんですよね、特に家には。あと普通に体動かしたり汗流すと気持ちがいいし、無になれるんで。
HDM:じゃあそのころには両親が離婚されてた?
kamui:最初は保育園のときに離婚して、中学校ぐらいに再婚して。家がふたつあったから、学童(保育)終ったあと帰りに兄貴と「どっち帰る?」みたいな毎日でした。
HDM:『ICON』に続いてリリースされるソロ作『CRAMFREE.90』には、お兄さんから暴力ふるわれてたっていうリリックもありますが。
kamui:兄貴は学校でいじめられてて、親は夜まで帰ってこないから、そのストレスとか全部俺にぶつけられてて。でも一番怖えのは親父で、母親だけが俺の支えだったっていうのはあったっすね。
HDM:みなみさんの幼少期はどうだったんですか?
なかむらみなみ:今とあんまり変わんない感じですね、気持ちは。家の環境としては私が3歳のころ、弟が生まれてすぐ離婚して。お母さんがホストの人と付き合ったときは保育園にホストの人が迎えに来たり、ヤクザの人だったら凄い車に乗ってたりとか。小学校3年くらいまではお母さんと一緒にいて、お母さんが(薬物の)依存症になって帰ってこなかったり捕まったりが多かったんで、弟と「何したら楽しいかな?」っていうのをずっと考えてきました。
HDM:そのころにはもうお母さんが逮捕されて家にいないこともあったり?
なかむらみなみ:普通に私が生まれてからちょこちょこ捕まってたんで(笑)、親戚の家とか施設に行ったりとか。
HDM:それもあって、みなみさんは路上生活も経験されてるんですよね。
なかむらみなみ:キッカケが今裁判中で内容は言えない事件なんですけど、その事件に巻きこまれて和歌山のお寺に行くか家を出て行くかって話になって、家を出ました。それが2013年からこの前までで。
HDM:でもみなみさんは明るいし、そういう境遇を感じさせないですよね。
なかむらみなみ:行くところどころで1日だけ寝るとかもあったんですけど、いっぱい友達もできたし、いろんな人と関わることが多かったから、たぶんこうなったのかなと思います。
HDM:そもそもお母さんの家族関係はどうだったんですか?
なかむらみなみ:おじいちゃんが芥川賞作家なんですよ、宮原昭夫っていう。
HDM:えー、そうなんですか。
なかむらみなみ:で、おばあちゃんが画家で、まわりの人もいい大学でていい教育受けてっていう中で育って、いろんな習いごととかもさせられたらしいんですけど、たぶんそれに耐えられなくて、ハタチで私を産んで。それまでも高校生で薬物売ったりとかで何回も捕まったりとかしてて、おばあちゃんが絵の先生でいた定時制の学校に通ってたんですけど、そこでも薬物売っちゃったりして。
HDM:じゃあ親類の風当たりも強かったでしょうね。
なかむらみなみ:そうですね。(祖父母以外の)親戚の間でも「あいつの娘」みたいな感じで、本当に最悪なときはごはんのスープの中に洗剤入れられたりとか。それは中学生のときですけど。7時ピッタリに起きて10時ピッタリに寝ないとダメみたいな。施設より厳しかったですね。だからそのぶん神社とかがあって非常にありがたかったっていうか。
RELEASE INFORMATION

TENG GANG STARR / ICON
bpm tokyo
BPMT-1010
2500円(税別)
2018年9月5日発売
RELEASE INFORMATION

kamui / Cramfree.90
Manhattan Recordings
LEXCD-18016
2000円(税別)
2018年9月19日発売