TENG GANG STARR|可能性を信じて ここに始まるストーリー

TENG GANG STARR|可能性を信じて ここに始まるストーリー

interview by HIROYUKI ICHINOKI photo by JUN YOKOYAMA

 

HDM:お囃子の太鼓を始めたのもその頃ですよね。

なかむらみなみ:小学3年生のときに辻堂来て、そのときもお母さんいなかったから、まわりのお母さんたちがご飯作ってくれたりとかしてたんですけど、子供たちが太鼓やってるから6時になると太鼓の練習のほうに行っちゃうんですよ。で、1人だから「寂しいなあ」とか思ってたら「みなみちゃんも太鼓の練習来たらいいよ。そうすればずっと一緒じゃん」って言ってくれて。

 

HDM:言ったら地域が親代わり、家族代わりっていう。

kamui:だからメチャクチャ礼儀正しいんすよ、この人。俺とバチバチしたときでも、次の朝起きたら「おはようございます」ってメールがきてたり(笑)。神社の完全に男社会の上下関係で育ったから、悪口言ったり挨拶を適当にすますとかなくて、初対面の人にもちゃんと敬語で話すみたいな感じでいるんで、それも魅力かなって。

 

HDM:家の外にもちゃんとしつけの場があったっていうことですよね。だから悪い方向にも向かわずに。

なかむらみなみ:そうですね。お囃子始めた時点でいる人たちがそういう方々なので、「知ってる人じゃなくても挨拶しなさい」とはずっと言われたし、靴は揃えるし、「何かしてもらったらありがとうございますって絶対言うのよ」っていうのは、私も今、子供たちに言ってます。

 

HDM:そうですか。kamuiさんは、お母さんが再婚してから家の中はどうだったんですか?

kamui:再婚相手も気分いいときはいいんですよ。話も合うし、東大でてるんで頭もいいし。でも、かんしゃく持ちで自分ルールが結構あって。そういう性格なんで、その人にも息子と娘がいたんですけど、一緒に暮らしてくことができなくて、俺も家出して友達の家とか転々とする感じで。

 

HDM:折り合いがよくなかったわけですね。そのあと、高校をでてラップするために名古屋から上京して。

kamui:もともと音楽にはマジで興味なかったんですけど、たまたまタクシーのラジオで流れてたエミネムの曲を聴いて、直感的にそこで「俺はラッパーになる」って決めたっていう。俺は居場所がなかったからこっちに来た感じです。

 

HDM:上京後に鑑別所暮らしも経験されてるんですよね。

kamui:そうっすね。自分の感情だけで生きてきて、東京来たらなお自由にできると思ったんですけど、まったくコネクションなくて1人でやるしかないって状況で、自分の感情をコントロールできなくて。

 

HDM:選挙ポスターを破った「公職選挙法違反」による勾留だったそうですが。

kamui:母親も名古屋から来て、選挙事務所で俺の代わりに頭下げてるっていうことを弁護士や刑事に聞かされて。俺、何やってんだろうなって。刑事も最初は政治犯っていう体で取り調べてたんですけど、話してくとそうじゃなさそうだってわかって、「未来も夢もあるんだから二度とくんなよ」って言ってくれたんですね。で、出たあとも気にかけてくれて面倒見てくれて。

 

HDM:その経験が自分を見つめ直すキッカケになったと。

kamui:そのタイミングでみなみとも会ったりしたんですけど、結局、自分に正直になることで自分を苦しめてたっていうのが大きかった。だからそうじゃないやり方を考えなくちゃいけないし、それに必要なのは知識だと思ったんですよ。だから誰よりもめっちゃ本を読んで、映画も鑑賞して。それまで映画も本もまったくだったんですけど、その反動でむさぼるように知識を吸収した時期でした。

 

HDM:結果それが今のkamuiさんを作ったわけですよね。

kamui:ただ、それを経てソロアルバム(『Yandel City』)を作ることでまた病んじゃうんですけど(笑)。めちゃくちゃ完成度突き詰めてアルバム作って、皿を持つこともできないくらいになっちゃったんですよ。それぐらい極限まで思い詰めて作ってたんで、特別なものにはなったんですけど、音楽ってもっと楽しくてもいいんじゃないかって。人間は凄く多面的な存在なので、それに正直になればいいとも思ったし、それプラスで息抜きというか処方箋で始めたのがTENG GANG STARRですね。

 

HDM:なるほど。こうして話を聞いてると2人は人間的にも正反対で、お互いの足りない部分を補う関係でもあるのかなあと。

kamui:それはめっちゃありますね。完全に陰と陽じゃないですか。

 

HDM:ともあれ、ユニットを作るにあたってkamuiさんが誘ったのがみなみさんと、今は脱退したもう1人のメンバーですよね。

kamui:あくまでもヒップホップにこだわってたんで、(みなみが)ヒップホップ好きで聴いてたっていうのは前提として大事で。それに話聞くと母親がダルク(薬物依存症の治療施設)にいたり境遇が凄くて、「それヒップホップじゃん、それを歌詞にすればいいんだよ」って。もう1人のリュウって相方も、保護観察処分で高知から抜け出してきてて、本名はいまだにわかんないくらいだし。

RELEASE INFORMATION

TENG GANG STARR|可能性を信じて ここに始まるストーリー

TENG GANG STARR / ICON
bpm tokyo
BPMT-1010
2500円(税別)
2018年9月5日発売

RELEASE INFORMATION

TENG GANG STARR|可能性を信じて ここに始まるストーリー

kamui / Cramfree.90
Manhattan Recordings
LEXCD-18016
2000円(税別)
2018年9月19日発売

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