WILYWNKA|背筋伸ばしてスタートラインに立つ

WILYWNKA|背筋伸ばしてスタートラインに立つ

interview by HIROYUKI ICHINOKI photo by cherry chill will.

 

HDM:でも、そんな中で高校生ラップ選手権にも出てたわけですよね。

WILYWNKA:今もずっと一緒にいてくれてる人から「こういうのがあるけど出えへんか?」って誘われて。俺もイキってたんで、「メディアなんてダサくないっすか?俺そんなの出ないっす」みたいなことを言うんすけど、俺がおらんとこで「あいつこんなこと言って調子のってましたわ」みたいに言ってんのが耳に入って、「そんなん言うんやったら出るわいや」みたいな。その当時は高校生でラップやってるヤツがあまり大阪にいなくて、俺もマジなめてたんで、「俺に勝てるヤツいないっしょ」ぐらいのバイブスでしたね。

 

HDM:実際に選手権に出てみてどうでした?

WILYWNKA:よく聞かれるんすけど、でも本当に高校生ラップ選手権に関しては大した思い入れも何もなく、自分的には特別話すような変わったこともないんですよ(笑)。

 

HDM:そうなんですね(笑)。まあそんな感じで選手権に出る一方で、活動の面ではまだしんどかったと。

WILYWNKA:高2ぐらいが一番しんどくて、見放されて、まわりもいなくなって。病院のお世話になったりもしたし。毎日が「ダメやとわかってる、明日から頑張ろう、でも起きたら夕方で何も頑張れません」みたいな連続で。それにうんざりして、ある日気分の調子がいいときにHIDAさんに電話して、「マジ頑張ります」みたいに言って。で、「じゃあ明日家こいや」って言われてひさびさHIDAさんと話して、「どうしたいねん。状況どうやねん」と。それで、「毎日こんな感じで、人からも逃げてて、でもラップやりたいっす」みたいな。先輩やまわりの信頼が1回ゼロになってたんすけど、HIDAさんの力もかりつつ、そんときからやり直し始めましたね。

 

HDM:今回のファーストアルバム『SACULA』では「くだらない毎日」(『Runnin’』)とか「クソな生活に飽き飽き」(『Our Turn』)ってラインもあるように、そうした日々から抜け出すっていう思いが端々で曲になってますけど、これってやっぱりそのころの思いとリンクしたものなんですか?

WILYWNKA:よく思い出すし、内容にはそのころのこともめっちゃ入ってる。人としてカッコ良いこと、悪いことがちゃんとわかり始めて、そこに至るまでの経緯がアルバムになってます。

 

HDM:じゃあ『Lonely Night』にしてもさっき話にでた、まわりから孤立状態にあった当時の感情だったり。

WILYWNKA:完璧それっす。あんまいい思い出じゃないけど、それ含めての今ここなんで、それも悪くないって言えるんすけど。

 

HDM:今回アルバムタイトルにもなった『SACULA』ではお母さんへの思いが歌われてますよね。

WILYWNKA:今回1%にアルバムを作ってもらうまでにもアルバムは作ろうとしてて、その作ろうと思った2年前ぐらいから徐々にまわりの信頼を取り戻していくわけですけど、めっちゃ考えさせられたことがあって。それが僕が改心していく一番の理由なんすけど、もともと親が自営業やってて、ちょっと裕福やったんすよ、高1ぐらいまで。けどある日、家に帰ったらソファーとかテレビとかがなくて、「母ちゃんおらへんのやけど」って父ちゃんの部屋に行ったら、「知らねえよ。出てったよ」「えー」みたいな。で、俺が捕まったあとに、父ちゃんじゃなく母ちゃんが引き取りに来て、母ちゃんと一緒に住むことになるんすけど、ある日普通に母ちゃん見てたら、凄いなって。会社が倒産してからは母ちゃんは毎日パート行って、お金がないのは嫌やからって税理士の勉強もずっと続けてて。それで母ちゃん眠たそうなんですよね、毎日。それで夕食とかもいつもレトルトなんですけど、せめて目玉焼きくらい作ってあげようと思ったんすかね。ある日ハンバーグをチンして目玉焼き作りながらウトウトしてて。その姿をじっと見てると、いつの間にか母ちゃんより俺のほうが大きいわけですよ。

 

HDM:曲にも「あんたが小さくなったのか 俺が大きくなったのか」(『SACULA』)ってありますね。

WILYWNKA:そのときの母ちゃんの姿に考えさせられてしまって。自分がその立場やったら、眠たいし、仕事してるし、「チンして食っといて」ってなるけど、母親は無条件の愛が凄すぎて。それって究極じゃないですか。僕も友達が離れていったりとかいろいろあって、今は落ち着いて、そこまではできへんけど、自分の友達とか身内って思うヤツらには極力それに近いことをしたいし、そのやり合いやと思うんすよね。だから特にこのアルバムを作るときに、「LOVE」やなって。

 

HDM:じゃあ「LOVE」がアルバムのテーマだと。

WILYWNKA:昔までは「愛、愛、言いやがってくっさいなあ」みたいに思ってたんすけど、実際大事で「みんなが一番欲してんじゃね?」みたいな。俺もそこに飢えてたんやろうし、俺ん中で愛の究極が母ちゃんで、ウチの母ちゃんの名前がサクラっていうことと、ラップ始めてからもう何年も経つけど、やっとスタート地点に立ったという門出だから、春、桜みたいなのもある。学校とか行ってないし、みんなが入学とか就職してるときに俺は何もやってないみたいな感じやったけど、21歳にしてやっと自分の入学式的なものをできるみたいな(笑)。

 

HDM:なるほど。そう考えると今、人としてベースになってる部分が形になったアルバムでもあって。

WILYWNKA:「ごめんな母ちゃん、これで許して」みたいなとこもあるっすよね(笑)。ほんまに恩返しアルバムっす。「みなさんすいませんでした」っていう。やからこそ、みんなにすげえ感謝してるし、こうやって形にできへんかったら口だけで終ってたし、それをちゃんと口だけじゃない男にさしてもらいました、これで。

EVENT INFORMATION

WILYWNKA|背筋伸ばしてスタートラインに立つ

WILYWNKA『SACULA』RELEASE TOUR

10月13日(土)@東京 SPACE ODD
10月28日(日)@仙台 CLUB squall
11月10日(土)@福岡 STAND-BOP
11月11日(日)@熊本 Labo te:D
11月24日(土)@沖縄 G+okinawa
12月1日(土)@大阪 CLUB JOULE

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