PALM|6年ぶりのフルアルバム『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』から見るPALMという音我苦
関西アンダーグラウンドから世界に続く道を切り開いてきたPALM。待望の新作『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』を発売し、初のヘッドラインEUツアーを控えた(インタビュー時)メンバーに、アルバムのこと、ライブのこと、バンドとは?PALMとは?をEDGE OF SPIRITのSHOをインタビュアーに迎え聞いてみた。
HDM:まずは発売おめでとう!完成してみての感想は?
TAKAHASHI(Vo.):めっちゃ嬉しいんですけど、音源自体がひさびさすぎてもうなんて言えばよいかって感じで。今回は自主で何から何までゼロから自分たちが携わって作ったんで、CDが届いたときの嬉しさは過去最高でしたね。届いた段ボールに抱きつくくらい(笑)。
AKIRA(Gu.):アルバムを出す前にMVを3本撮ったんですけど、そういうのも初めてやったし、ありがたいことに良いリアクションももらえてたんで、アルバムが完成するのが今まで以上に楽しみでしたね。
KENTA(Dr.):うーん…僕は…もう(みんなに)言われちゃった感じですかね。基本的に何も考えてないんで(笑)。
HDM:流れに身をまかす系やもんな。そのくせ流れの方向にはちょっとうるさいみたいな(笑)。
KENTA:流れはまかすけど、ここの石は絶対にどかさん!みたいな(笑)。
HDM:(笑)。ま、俺らもそうやけど、SNSとかネットが成熟する前からバンドやってますよね?昔と違い情報は飽和してて、発信する側も自由に発信できて、時代が凄く変わった。そういった過程を経験しての今回のリリースなので、こう今までとは違った心境の変化とかはあったのかなと思って。
TAKAHASHI:それはあるっすね。15年以上バンドやってるけど、MVも作ったことなかったし…
HDM:謎の廃墟で撮ったまったく売れなかったDVDとかはあるけどな(笑)。
TAKAHASHI:ありましたね(苦笑)。これまでもやりたかったけど個人的、環境的事情でやれなかったことがたくさんあったんで、今回自分たちでやるにあたり、そういうのをいったんゼロにしたかったんです。自分の年齢だったり、今後のバンド活動を考えたうえで、あとから悔いが残らないようにしたくて。紙にそれらをひとつずつ書き出して、めっちゃ考えて、どうしようかと。
HDM:今回の制作にあたって、何か決まりごと、コンセプトってあった?
TAKAHASHI:前作は個人的にですけど振り幅がちょっと広いアルバムやったんで、今回はエクストリームの部分をより強く、より濃縮したものを作りたいなって話はしましたね。
KENTA:うん、コンセプトってほどではないんですけど、漠然と。今思うと1st、2ndとそのとき好きやったものを詰め込み過ぎたというか、情報量がちょっと多かったんですけど、今回はよりシンプルにギュッとしたものができたかなと。
AKIRA:僕はあとから入ったんで、PALMの歴史の中でこの作品がどうみたいな視点ではなく、自分がどうかっていうのを探りながらやってました。とにかく必死でした。職業柄(レコーディングエンジニア)一歩引いた立場で制作に参加できるかなと思ってたんですけど、いざやると目の前のことで精一杯で…
TAKAHASHI:KENTAもそうやしAKIRAもやし、これまでのメンバーもそうなんすけど、みんな器用でセンスもあるし何でもやれちゃうんですよ。だからやりたいことを良くも悪くもPALMっぽくできちゃうんですよ。それが1st、2nd。今回はそれを置いといて、PALMなりのエクストリームを追求した作品かなと。
HDM:なるほど。次の質問、サウンドに関して。そこまで聴き込む時間がなかったんでさらっと15回くらい聴いた印象なんやけど、生っぽいというか、切って貼った感がないなと感じたんですが、特有のライブ感はこだわった部分なんかな?
KENTA:そうっすね。べつにメタルコアを否定するわけじゃないんですけど、自分がそういうバンドの音を聴いたときに、カッコ良くても「あっ…」ってなってしまうとこがあるんですよ。メンバーも僕もローなサウンドが好きなんで、そこは時間をかけてこだわったところっすかね。
HDM:手書きのイラストを最後にグラフィック処理したようなものでなく、原画やなって感じがしました。それを一番感じたのがドラムやったんで、流れに身をまかすと言っていたKENTAが、こだわって動かさなかった石がこれやったんやなと(笑)。
KENTA:ブラストにしてもメタルコアぽくしたほうがもっと鮮明に聴こえると思うし、同じようにもっとバシッともできるんですけど、実際のライブやとこんなもんでしょっていう。そういうローさを出したかったんで。ライブで「おまえそんなブラスト鳴らされへんやろ」っていうようなメタルコアの音源が最近多いから(笑)。
HDM:AKIRAは仕事もエンジニアやんか?そのへんで何か意識したことはありますか?
AKIRA:普段ミックスは基本自分でやるんですけど、今回は初めて海外に投げて、親交のあったテイラー・ヤング(USハードコアバンドNAILSのドラム)にお願いすることにしたんです。いろいろダメ出しもされたっすけど、いい勉強になりましたね。
TAKAHASHI:でも大変やったなぁ…
AKIRA:ミックスのときかなり細かい指示を書いて修正出すんですけど、物理的に立ち会えないし、微妙なニュアンスがなかなか伝わらなくて。
TAKAHASHI:テイラーも世界的なバンドを録ったりしてるエンジニアやし、自分の色をちゃんと持ってるし、プライドもあるしで、修正ひとつにしても僕らとの微妙なラインでのせめぎ合いですよね(笑)。
KENTA:でも僕らの世界観はわかってくれてるし、対バンもしてるし、最終いいものに仕上げてくれたんで、それは嬉しかったですね。
TAKAHASHI: KENTAはドラム的に100%やないやろ?やりとりの途中でフェイドアウトしていったの見てて思ったもん(笑)。
KENTA:まあまあまあ(笑)。100%にしたらあと5年かかるなと思ったんで(笑)。
AKIRA:最後時間なさすぎて移動中パーム号の中で確認したりしてたもんな。
KENTA:大事なライン決めてるところやのに、カーステで何やってるねんみたいな(笑)。それぐらいタイトでしたね。
AKIRA:作業を通じてテイラーが凄くこだわる人やってより深く知れて良かったですし、それだけに『音我苦』問題は申し訳なかったなって…
HDM:俺がリツイートしたのに数時間後に消したやつでしょ(笑)。説明すると、満を持してアップした『音我苦』のMVに入ってる音が、最終ミックスとは違う音源やったのが発覚して、慌てて削除したという(笑)。
KENTA:あんだけあーだこーだこだわってうるさくテイラーに言ってたにもかかわらず、その間違いに先に気づいたのがテイラーという…
RELEASE INFORMATION

PALM / TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE
DELIVER B Records
DVBR-001[CD] / 2500円(税別)
DVBR-002[CD+DVD] / 3000円(税別)
2018年8月29日発売