PALM|6年ぶりのフルアルバム『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』から見るPALMという音我苦

PALM|6年ぶりのフルアルバム『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』から見るPALMという音我苦

interview by SHO from EDGE OF SPIRIT photo by CAZROW AOKI

 

HDM:言葉にできないからTAKAHASHIはバンドをやってるんやから。だからバンド以外のところでコミュニケーションをはかろうと思ったって無理やから(笑)。じゃあ、そんなTAKAHASHIに質問。付録の映像で印象に残ったシーンがあって、ナレーションで「TOSHIは自分自身のライブの良し悪しに厳しくて、ライブが彼の基準に達していないと目に見えるほど落ち込んでいた」ってあったんやけど、自分にとってのライブの良し悪しって何ですか?

TAKAHASHI:うーん………

 

HDM:頼むから頑張って言葉にしてくれ(笑)。

TAKAHASHI:難しいなぁ…(笑)。うまく表現できないんすけど、過去に何度か歌ってる最中の記憶がないようなライブがあって、それっすかね。記憶がなくなるぐらい没頭したライブ。声が出てないなとか、(ステージで)次こっちに行こうとか考える隙もなく、心と体の動きが一体となって無心となるような。あくまで自分に対しての良し悪しなんで、ライブが盛り上がったからいいライブとか、そういうのでは決してないですね。

 

HDM:うん。昔のライブはなんかこう夢中になれてないというか、悩みながらライブをしてるなあって見てて感じてたんやけど、最近は今話したようなライブができる精度が上がってきたよね。

TAKAHASHI:でもいまだに迷ってる部分はいっぱいありますよ。正解がわからないというか。ライブ終わってお客さんから「良かった!」って言ってもらっても、自分では何が良かったのかまったくわからないし、メンバー同士でもそれはあるし。ライブをやればやるほどみんなの中で「PALMってこんなバンド」ってのができあがってくるじゃないですか。「PALMのボーカルはいつもブチギレてる」とか、「ステージから降りてくる」とか、「マイクで頭どついて血を流してる」とか…そういうイメージばかりが先行して、俺ってプロレスをやる人みたいに思われてたら嫌やなとか、そういう悩みはありますね。そんなつもりはないのに。

 

HDM:個人的に10年以上TAKAHASHIに言い続けてるけど、「ステージから降りるな」って。ステージにこだわってお客をこっちに来させなあかんって。来ないから行って盛り上がったとしても、その行き着く先は行き止まりやでって。(ステージから降りることは)べつにいいんやで。でもパフォーマンスとしてではなく、自然とそれができないと。

TAKAHASHI:そうなんですよねえ。結局、俺ってステージから降りないとそこにいる人たちの心をつかめないのかって…

 

HDM:降りる必要がない良いパフォーマンスをできること、俺は知ってるから。だからずっと言ってるねんけどな。でもそういう細かいことを超越した凄まじいライブをするバンドになりましたよね、PALMは。

AKIRA:いいライブのときはいいMCもしますしね。いつもはテンプレートやけど。

 

HDM:テンプレートすぎて大阪でやってるのに「大阪から来ました」とか言ってるもんな(笑)。

AKIRA:「あと2時間やります」とかよくわからないこと言ったりとか。でも以前、京都MUSEでLas Vegas(Fear, and Loathing in Las Vegas)と対バンしたとき、ステージから降りてもなかったし、MCもいいこと言ってて俺ら的にめちゃいいライブしてるなってときがあったんですけど、ふと最前列にいたLas Vegasファンの女の子を見るとずっと指の皮むいてたんですよ。それはかなり衝撃でしたね(笑)。

 

HDM:PALM渾身のライブが指の皮に負けたんや(笑)。ステージから降りようが降りまいが、伝わらないということはそういうことなんやな。…まあ、TAKAHASHIがまとめてくれんかったけど、最後の質問。自分たちより若い世代の子に向けてでもいいし、いつもライブに来てくれている子たちにでもいいし、最後に何か言いたいことがあればどうぞ。

TAKAHASHI:やりたいようにやって、自分のケツは自分でふけ!すかね。音楽でもスポーツでもサラリーマンでも自分で選んで進んだ結果の人生だと思うんで、誰かのせいにすることなく、時代のせいにすることなく、やりたいようにやりきって死んでいくのが、自分が生まれた意味なのかなって。

 

HDM:今回付録のDVDで一番良かったところがあって、日本のバンドマンやお客さんが海外からの来日バンドを見て「やっぱ音が違うなあ」「演奏が上手いなあ」「俺らももっと頑張らなあかんなあ」って思ってた同じことを、オーストラリアのバンドに言わせてたところは痛快でございました。そういうのをもっと関西にいる若いバンドマンたちも感じてほしいね。でもPALMは歴史に名をのこすバンドになったんじゃないですか?

KENTA:なれてるんすかね(笑)。

 

HDM:なれてると思うよ。また10年後か20年後に行川和彦さんが図鑑みたいなん出すと思うから、そこに名前が入ってるかどうかやな(笑)。

TAKAHASHI:みんなと飲んでてよくその話になるんですけど、日本のパンク、ハードコア、メタル…そういったジャンルの歴史の中だけでいいから、この時代にPALMってバンドがいたんやでって、そういう爪痕をのこしたい。自分たちもそうであったように、リアルタイムじゃなくてもそういう年鑑とかを通じて知り、時代を超えて俺たちの音が伝わっていく。俺らがいなくなっても誰かが俺たちの音を聴いてくれている。それってほんま最高やなって。

AKIRA:だからアルバムを出して今一番気になってるのは、行川さんに「グレート」もらえるかどうかっすね(笑)。

RELEASE INFORMATION

PALM|6年ぶりのフルアルバム『TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE』から見るPALMという音我苦

PALM / TO LIVE IS TO DIE, TO DIE IS TO LIVE
DELIVER B Records
DVBR-001[CD] / 2500円(税別)
DVBR-002[CD+DVD] / 3000円(税別)
2018年8月29日発売

  • facebook
  • twitter
  • pinterest
  • line
  • Tumblr