NORIKIYO|馬鹿と鋏と〇〇と

NORIKIYO|馬鹿と鋏と〇〇と

interview by HIROYUKI ICHINOKI photo by グレート・ザ・歌舞伎町

 

HDM:つまりは今回のアルバムも今の歳と立場で言えること、言うべきことを言ってると。

NORIKIYO:そんな大したもんじゃないけど、いろんな愛の形と、愛の使い方、人のことを思いやるとか、そういうことに興味があって。みんな生活も生まれた場所も違うけど、同じ時代の中でどうしたら幸せを感じながら暮らせるかなあって。ちょっと話飛ぶっすけど、俺の友達が会社行くときに乞食にパンをあげて、次の日もパン買ってもう1回あげたことがあったんですよ。それでちょっと仲良くなって、「知り合いに土建屋さんいるから働けよ」っつって面接の日時も設定してあげたんだけど、その人が面接に来なくて。で、次会ったときに「お前なんで来なかったんだ」っつったら、「いや、仕事しなくたってお前がパンくれるじゃん」っつって。これってほんと思いやりも使いようって話じゃないですか。こっちは正しいと思ってやったけど、向こうからしたらそれはお前のエゴで、パンあげて気持ちよくなってんだろ?俺は食えりゃいいんだよ、仕事なんかノーサンキューみたいな。そういうのからけっこう着想していって、最後の『兎に角笑えたら』って曲で「うん、やっぱそうだね」って深くうなずいてもらうために作ったし、タイトルもそういう感じなんすよね。

 

HDM:その意味では、明確な意志に基づいたアルバムってことなのかな。

NORIKIYO:そういうものが作りたいって思ってる時期なのかな、今は。でも、それも気分なんすよ。人生的に見たら(アルバムと)地続きかもしんないけど、こういう感じのノリで遊びたいっていう。ファミカセで言ったら今日はドラクエで遊びたいけど、次は何で遊ぶかわかんないよ、マリオカートかもしんないしみたいなノリで、ヒップホップっていうハードの中にどういうカセット突っ込んで遊ぶかみたいな話で。だから今回はこういうテイストのアルバムになったけど、次はどういうトラックでやるかもわかんないし。

 

HDM:ともかく、アルバムラストの『兎に角笑えたら』では世界にまで目線が及んでて。

NORIKIYO:友達間とか恋人間の生活サイズの話から地続きな問題だとおもうんですよ、国の行く末だったり世界のことっていうのは。そういうところに目を向けたら、じゃあどうすればいいって答えはないけど、ひもとくヒントはあるんじゃないか?みんながそこに意識を持ってったらいきなり世界が変わるわけじゃないけど、いい方向に回っていって、少なくとも悪いほうに向かうスピードは遅くなるんじゃないか?って。大したことできるわけじゃないんですけど、少しでも世の中にグッドバイブスを出したいなあっていう気分なんだと思います、今(笑)。

 

HDM:バトル人気も落ち着いてきたけど、世間的なヒップホップの動向についてはどう見てます?

NORIKIYO:今、ヒップホップが広まったかって言ったら俺そうじゃないと思うんすよ。それ日本語ラップっていうものでしょ、ヒップホップは言葉のチャンバラとかそういうもんじゃないんだよなあみたいな。競技じゃないし。それはそれでやっぱ凄いことだと思うんですけど、バトル出てる人たちとか。勝ち負けをつけられるっていうのは精神削られることだし、俺もバトル出るよってなったら2週間前ぐらいからずーっと手汗出てたのを思い出すたんびにウワーってなりますから(笑)。それにやっぱり少なからず傷つきますからね、バトルでグサッと言われたら。

 

HDM:ましてそれで負けでもしたらね。

NORIKIYO:そうなんすよ。だからバトルのフィールドに立ってる人たちのことはリスペクトしてるけど、それだけだとどうなのかな。不勉強なんであれかもしんないですけど、俺がバトルをキッカケに知ってファンになったのってBAD HOPくらいかな。でもそれはやっぱ音源を聴いて好きになったわけだし、ライブをみてさらに好きになるしね。今、バトルのフィールドで活躍してる人が5年後も活躍してればいいですけどね。

 

HDM:そこで逆に改まって聞くのもなんすけど、NORIKIYOくんがこれまで自分がラップを続けられた理由ってどこにあると?

NORIKIYO:楽しいからじゃないですかね。飽きっぽい性格なのに、楽しくてしょうがないんすよ、曲を作るっていう作業が。それをライブで共有する一体感って、要は俺の意見を聞いて「その通りだよ」ってうなずいてくれるっていうようなことじゃないですか。深くうなずいたヤツはリリックを歌ってくれるし。そういうのを想像しながら曲書いてるんで。

 

HDM:言いかえると、思いを共有するために曲を書いてる。

NORIKIYO:それもあります。伝わらなかったら意味ないしね。5年ぐらいやってたら誰でも自由自在にラップできるはずだし、それができねえヤツは才能ねえからやめたほうがいいですよ。イケてるかどうかってのはそっから先の話っすよね。オナニーにならないで、聴いてくれた人たちとセックスできるかどうかっていう。

RELEASE INFORMATION

NORIKIYO|馬鹿と鋏と〇〇と

NORIKIYO / 馬鹿と鋏と
YUKICHI RECORDS
YRC-054
3000円(税込)
2018年9月28日発売

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