EX-C企画『KILLING ME SOFTLY』UM8 & MIZUTAMAXXインタビュー(前編)

interview by エロリン from BURNING SIGN / NODAYSOFF

 

2018年10月20日(土)に大阪堀江のSOCORE FACTORYにてEX-C単独企画である『KILLING ME SOFTLY』が開催される。大阪のハードコアバンドとして精力的な活動を続けるEX-Cだが、単独でのイベント企画はひさびさとなる。ほかに類を見ない幅広さと奥深さを感じさせるラインナップとなったが、企画にこめた意味やメッセージとは。主要メンバーであるVo.UM8と、Gt.MIZUTAMAXXに、EX-Cや各々のルーツにも迫りつつ、話を聞いた。

 

 

-知らんところにガンガン攻めていこうかっていう流れ

 

HDM:今回の幅広いメンツを考えると、やっぱりEX-Cのルーツ的なものからたどっていくのが良いかと思うのですが、最初ってウメくんが主導で始めた感じだったんですか?

UM8:うん、俺とソーくん(現SECOND TO NONE Dr.)かな。俺がABUSE THE ABUSERのボーカルやってるときに、ソーくんと(ABUSE THE ABUSERとは)べつで曲作りしてたんやけど、だんだんとそっちのほうがおもしろくなってきて。そんでバンド内が次第に二手にわかれだしたときに…ソーくんもこっちのテンポ感のほうが楽しくなってきたみたいで。そんなところがスタートかな。

 

HDM:最初のころって、今みたいにいろんな要素を取り入れているような感じじゃなかった記憶があるんですよね。もっと全体的に速くてストレートだったというか。そのあたりのところってどうですか?

UM8:ここ最近の曲作りはミズタくん主導やからね。それをみんなで組み立てて…そういうメンバー変更によって変わってきた感じもあって…まあ、初期のイージーなハードコアからはだいぶ変わってきた実感はあるかな。

 

HDM:一番最初のころはどんなんやろうとかっていう構想はあったんですか?

UM8:そのときはDMS系やったかな。もう直球系のやつやね。

 

HDM:EX-Cが出てきたときはけっこう新鮮で。その当時(1999~2000年頃)って関西は極悪系がまだまだ全盛の時代やったじゃないですか。だから凄いストレートなバンドが出てきたなあって印象やったのを覚えてます。まだSMDのつながりも無かったころですからね。

UM8:まあ、その時代にはマッチしてなかったな(苦笑)。

 

HDM:本来は王道なはずなのに異色感があったというか。

UM8:ハードコアへの入りがSXSXSというよりはBREAKOUTやったからかな。T.J.MAXXやB.D.UNION、その影響が俺は大きかったかな。B.D.UNIONは羽曳野で地元も一緒やし、高校の先輩でもあったし(笑)。そこからのつながりでツアーに連れていってもらったりして、そういうのを続けてたらBREAKOUTまわりの人たちとも知り合いが増えて…やったかな。その延長でバンドも始まった感じで。当時はミズタくんとかもただただ恐い先輩やった(笑)。

 

 

HDM:まあ、関係性でいうたらそうなりますよね(笑)。そのころってまだ今みたいにいろんなライブに出ていろんなバンドと一緒にやるってことは少なかったですか?

UM8:いや~、それどころかEX-Cは最初のころライブなんてぜんぜんなかった。なんや言うたら奈良ぐらいやな(笑)。CRAPHOUSE。苗さん。ネバラン。

 

HDM:MASTERPEACEやRAUGH ROCK POSSESTがアメ村でグワーッと元気にやりだしたころとはあまり被ってなかったですか?『POWER PLAY』とかが始まりだしたあのころ。

UM8:MASTERPEACEとかRAUGH ROCK POSSESTは結成自体が俺たちよりまだちょっとあとやねん、1~2年くらい。

 

HDM:あーそうなんですね。EX-Cの結成自体は1999年くらいですか?

UM8:せやな、1999~2000年にかけてくらいやわ。2001年にデモ出したから。

 

HDM:さっき言ってたアメ村で勢いのあったバンドとかとは一緒にやることも多かったイメージでしたが。

UM8:そのへん同世代ではあるんやけど、あそこまではワヤできんかった(笑)。入りきれんかったって感じかな。

 

HDM:なるほどなるほど(笑)。ベースって最初は誰でした?

UM8:ベースは最初からテッチャン(T.J.MAXXと兼任)やわ。ただ家の事情で1回抜けるって時期があって。そのときにベースどうしよかってときに、ミズタくんが助けてくれて。それはミズタくんがBOXED INもやってる時期で、ちょうどEX-Cと同じ時期にVATO RECORDS(RADICAL EASTの別レーベル)から音源出したり、ツアーも一緒にまわったりっていう縁があって。ちょうどその遠征とかを通じてミズタくんも恐い先輩から身近な存在になったというか。BOXED INもEX-Cもシーンでは異質な感じやったから、そのへんでもシンパシーはあったのかな。さっきのベースの話がでたときに、「バンド止まるくらいなら俺が弾こうか」って言ってくれて。

 

HDM:そうなんですね。そう思うとギター陣もけっこう変わってますもんね。タークンが抜けて…

UM8:そうそう、ユージが入ってきて。そんでテッペイ(FIVE NO RISK)がギターで。そのころのベースがミズタくん。

 

HDM:テッサンはいつ復帰したんでしたっけ?

UM8:テッチャンはユージが抜けてテッペイも抜けて…っていうギターがおらんくなるタイミングに、テッチャンにもっかいやらへんかって頼んだんよね。そんでミズタくんをギターにコンバートして。バンドとしてギターを2本にしてからはその感触も悪くなかったし、もう1本探そうとなって、そこで…ハジメ(NOTⅡBELIKESOMEONE)やな。

 

 

HDM:そのころはちょうどあれですね、SMDが集まりだしたくらいのころですね。

UM8:そうそう。

 

HDM:そう思うとBOXED INとかの話が2004年くらい、メンバーの変更があったりしてSMDが動き出したのが2007年くらいで…FIGHT IT OUTとのスプリットっていつぐらいでしたっけ?2006年くらい?

UM8:せやな。FIGHT IT OUT は『HARDCORE BALL 6』のコンピで一緒に入って、それのレコ発で東京行ったんやけど、2DAYSで俺たちと違う日やったから観れなくて。でもオムニバスの中でKILL OUT、STILL YOU ALIVE、FIGHT IT OUTがカッコええなと思ってずっと聴いててん。特にFIGHT IT OUTは音も近くて。あのころはツインボーカルやったな。

 

HDM:あー、あのころの。

UM8:そうそう、YANGとOKBの2人で。そんでどうやったかな…そのときにライブは観れなかったんやけど、2人が挨拶しにきてくれて話したら仲良くなって、デモテープもらって。

 

HDM:あの黄色のやつですね。

UM8:それそれ。音もカッコ良かったし、歳も近くて。そんで大阪にぜんぜんツレおらん言うから速攻で呼んで。そんでライブも間違いないなーていう。

 

HDM:なるほどですね。今のEX-Cの幅広い対バンや活動って、ここまで話してきたような流れや、まわりのバンドとかによるところがやっぱり大きいですか?

UM8:まあ…せやな。それらもあると思うけど…でもKiMちゃうか?今ここまで広がったのは。KiMがずっと自分たちのレーベル(FRONT OF UNION)から音源を出さへんかと言ってくれてて。でも最初、KiMのイメージが俺の中でそんなに良くなかったんよ。でもまわりの仲のいいヤツらが、「いっぺんサシで飲んだりして話してみたら?」言うてくれて。ミズタくんはBOXED INのときから(KiMと)つながりはあったんよ。「EX-Cのことカッコいいってずっと言ってくれてるで」って。そんでいざ話してみたらエガさん(KiM Vo.)がメチャメチャ熱い人やって。俺も熱い人好きやから、そこでガッツリ仲良くなって。そんでいざいろいろと一緒にやるってなったら、KiMのイベントってけっこうゴチャ混ぜ系が多いやん?それまで京都もそんなに行くことはなかったけど、誘われるようになってからは毎回のように『武骨夜』にも呼んでくれるようになって。

 

HDM:たしかに京都のハードコアも数自体がそんなにいませんしね。

UM8:うんうん。そんでいざ出るようになったら、いろんなバンドとやれるのが新鮮でおもしろくなってきて。それまではライブに誘われても、正直興味がないと断ることも多かったのが、楽しさを覚えて…メンバーも同じように感じたんやろね。そういうのOKしていくうちに、徐々に対バンのメンツも強豪が増えてきて(笑)。でもいざ一緒に出てみると、そりゃ一線でやってきてる人たちやからもちろんカッコいいし、話してみたら思いのほか良い人たちやったりするし。それまでは決まったメンツでやることが多かったけど、そういうのがあって逆に知らんところにガンガン攻めていこうかっていう流れになった。

 

HDM:今回のイベントのメンツに綺麗に繋がってくる感じありますね。

UM8:そやな。ミズタくんはTHE HAWKSもやってるし、そっちで繋がったスキンズのシーンもあるからね。EX-CがHAWKSのイベントに誘われたりもあるし、そこで反応してくれたスキンズのバンドが「EX-Cええやん」って言ってくれたり。CRIKEY CREWとかもそれで呼んでもらったり。そんでそういう勢いの中で2年前の1stフルアルバム(『Dance in the Dark』)を出す流れになって、そこからまた一気に広がっていった感じかな。

 

HDM:そう考えるとたしかにKiMとの出会いはかなりデカいですね。

UM8:デカいなー。メンバーみんながそう思ってるんちゃうかな?

 

HDM:KiMとの1番最初の出会いとかっていつころでした?

UM8:俺らが『FULL SHOOT』(2012年ミニアルバム)出す直前くらいやったんちゃうかな、それまでは対バンすらしてなかったんちゃうかな。同じフライヤーに載ってることすら珍しかった気がする。先にレーベルとつながってから、そっからKiMとライブもガンガンやるようになっていった感じやな。

 

 

HDM:そっか、KiM自体も今のように頻繁にNY系のバンドとやることもあまりなかったですもんね。こないだの『武骨夜』KBSホールのインタビューでも本人が言ってました。でもエガさんのルーツにはNYのバンドも入ってますからね。

UM8:シンプルでメタリックなバンド好きやからな。まあそこはテッペイの存在もあるかな、FIVE NO RISKからの流れっていうのも。KiMやFRONT OF UNIONのことはよく推してくれてたし、そういう信頼してるヤツらからの推薦も大きかったな。

 

HDM:今までのメンバーの人たちがけっこうカギになってる感じもあっておもしろいですね。全部つながってくるっていう。

UM8:それがなかったら今の感じはないかもな。

 

HDM:ミズタさんが入るまでのEX-Cって、曲作りとかどうしてたんですか?

MIZUTAMAXX:そこは全部ウメくんやな。

 

HDM:あ、そっか、聞いたことあります。ウメくんがギターでパワーコードだけ弾いて作るやつすね(笑)。

MIZUTAMAXX:結成のときからウメくんのパワーコードとソウくんで組み立てていくっていうやつ。

 

HDM:ミズタさんがガッツリとギターでメンバーに入ってからは作り方とか変わりましたか?色的なものも含めて。

UM8:どうやろな、俺はどっちかいうと最初っから歌がのってるイメージで作ってたけど、ミズタくんはけっこうリフで押してくるから、「これにどうやってのせんねやろ…」みたいなんはあるかな(苦笑)。どうしたらEX-Cっぽくなるかなとか。

 

HDM:ウメくんの思うEX-Cぽさってどんな感じですか?

UM8:いやもう…走って、コーラス入れて、最後みんなで踊って…やな(笑)。

一同:(笑)

MIZUTAMAXX:それは最初から変わってないとこやな(笑)。

UM8:俺はパワーコードしか押さえられへんし、ソウくんにドラムのっけてくれ言うてもわからん言われるし…

 

HDM:でもそこで器用かつパワフルなドラム叩けるモッくんが入ってきて…

MIZUTAMAXX:今のメンバーになってようやく「こんな曲やりたい」っていうのを具現化できるようになったかな。

 

HDM:昔のメンバーを悪く言うとかではなくて、今のメンバーのベスト感は見ててけっこう感じるところかもですね。

MIZUTAMAXX:完全傭兵部隊やからな。

 

 

HDM:(笑)。でもみんなの個性やルーツとかが、今凄く良い感じに混ざりあったりぶつかりあったりしてるなと。ミズタさんは現在EX-Cでギター弾いてますけど、自身のルーツやバックボーンとかも含めて線引きみたいなものってしてはりますか?

MIZUTAMAXX:線引きは一応してるな。

 

HDM:あ、やっぱりあるんですね。ここまではアリやけど、ここまではナシやなとか。

MIZUTAMAXX:せやな、そういうのはあるな。

 

 

➡中編【なんというか「そのまんまやらん」…できへんねやろな 大阪人は(笑)】

後編【バンド名は知ってるけど 音は知らんって人に来てほしい企画】

EVENT INFORMATION

EX-C企画『KILLING ME SOFTLY』UM8 & MIZUTAMAXXインタビュー(前編)

『KILLING ME SOFTLY』

日程:2018年10月20日(土)
場所:南堀江SOCORE FACTORY
時間:開場17時 / 開演17時半
料金:前売2500円 / 当日3000円

出演:EX-C / KiM / NIGHTMARE / B-SIDE APPROACH / assembrage / 九狼吽 / 鐵槌
DJ:SHIGA CHANG / 44041644

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