RED SPIDER|HARDEST MAGAZINE 2014年7月発刊号掲載

RED SPIDER|HARDEST MAGAZINE 2014年7月発刊号掲載

interview by KYOJU photo by JUNYA S-STEADY

 

「ワン・サウンドでもし2万人入れることできたら夢あると思わへん?」2014年9月27日には舞洲にて前代未聞の2万人を目標としたワンサウンドイベント『緊急事態』を控えるRED SPIDER。次世代日本人アーティストをプロデュースした『Generation Shock』も大好評だったが、今回は前作『AH MURDER』に続きオールジャマイカンアーティストをプロデュースした『BYE BYE BADMIND』をリリース。イベント、作品、常に新たな基準をシーンに示し続ける時代の革命児JUNIORの貴重な話を聞くことができた。

 

 

HDM:今回リリースされた『BYE BYE BADMIND』は個人的にも大ファンなアーティストばかり収録されていますが、まずはJUNIORくんからそれぞれのアーティスト紹介お願いします。

JUNIOR:CAPLETONはファイアー。BUSY(SIGNAL)は天才。SIZZLAはわがまま。ASSASSINはフローも声もええ。COBRAはギャング。BOUNTY(KILLER)はボス。WAYNE MARSHALLは多才。シングジェイが浸透したのもこいつからちゃう?LUKIE Dは歌が上手い、ほんまのシンガー。コンビのDENYQUEはかわいい。できる(笑)。でも白人と結婚したみたいやけどな。NATUREは去年くらいから活躍し始めたけどJAH CUREっぽい。『REVOLUTION』って曲が流行ってて、最近ジャマイカでかからん日はない。TOKはTOK。流石にみんな知ってるやろ。KALADOはBOUNTY KILLER率いるALLIANCEの若手で、ダンサーに人気ある。大半シモネタ。WARD21はキチガイ。RICHIE LOOPは1回ハイプして頭打って、今めちゃいいヤツになってた。BEENIE MANはグラミーアーティスト。I-OCTAINEは若くてわがまま、ほんま人気で今のシーンには外せない。ETANAはほんまに歌うまい。日本人のシンガーって言ってる人はここらへんのちゃんと聴いたほうがええで。意識して追いつかなあかんと思う。TARRUS RILEYも本気で歌うまいし天才肌。ダンスホールもできる。まだまだ今後ビックチューン産んでいくやろうな。

 

HDM:なるほど。こういったアーティストのチョイスや曲などは日本で決めて向こうに持って行くんですか?

JUNIOR:これはオケ先行やな。こっちでオケ作って、そっからこいつ録ろうかって考えて、行く前にアポとってオケを先に送る流れが多い。特に前作一緒に曲作ったアーティストは事前にメールでやりとりしてた。直接向こうでコンタクトとったのはKALADO、I-OCTAINEかな。I-OCTAINEは録るつもりなかってんけど、たまたまダブ録りしに行ったらおって、「俺もいれろ」って猛プッシュされて、その日に作って録音した。アホやで(笑)。でもけっこうジャマイカ人は超感覚派やから、その日にリズム聴いてパッと録音するの多いで。

 

HDM:練習とかもなしですか?

JUNIOR:そう。っていうか上手いからいらん感じ。今回作って思ったけど、やっぱレベルが違う。日本人もここに追いつかなあかんて思った。もちろんちゃんとプリプロやるアーティストもいてるけど。

 

HDM:前作『AH MURDER』を経て今回何か気づいた点や発見はありましたか?

JUNIOR:前作を経たぶんアーティストからの信用もあってかなり段取りよくできた。それぞれのアーティストがどうやって作るのかもある程度わかったてたし。

 

HDM:『Generation Shock』では次世代のジャパニーズアーティストと一緒に制作されてましたが、日本人とジャマイカ人の大きな違いはどこでしょう?

JUNIOR:リズム感かな。ぜんぜんちゃう。産まれたときからレゲエが流れてるっていうのが身にしみてんねやろな。日本人はどうしてもそこが少しちゃうかな。「DeeJayとはなんぞや」って部分も説明せんでもわかってるし、って言うかそれしかできへんのやと思う。だから日本人で「レゲエです」って言ってやってるんやったら、そこは絶対に聴かなあかんのかなって思う。ここが基本やし、そこがなかったら俺らそもそもレゲエやってないやん?だからお客さんはもちろんやけど、レゲエやってる関係者にこそほんまに聴いてほしい。特に歌ってる人。そりゃ「自分DeeJayです。シンガーです」っていうのは簡単やけど、それってこういうことを言うんやでって聴いてわかってほしい。レゲエの匂いがまったくなかったら「それってどうなん?」って最近思う。ただレゲエの現場でやってるから「レゲエです」っていうもの最近違うんかなって考えてる。枠にとらわれへんっていうアーティストが増えてきてると思うけど、それならレゲエってわざわざ言わんでええし、その枠があるからこそ俺らおもしろいんちゃうん?って思うけどな。そりゃ人によっては今回の作品も「これはレゲエじゃない」って言うんやったら、そいつにとってはそうなんかもしれんけど、ジャマイカのエンジニアとかにいろいろ聴かせてみても、間違いないって言わせるクオリィティで作った自信はある。

 

HDM:そういう世界基準と言うことも踏まえて、これは世界にも配信されるんですか?世界での反応も楽しみですよね。

JUNIOR:されるで。120数カ国されるはず。でも今回は世界的なセールスとか考えて作ってはないかな。レゲエって一言で言ってもロックステディやスカとかから始まって、そこから派生したダンスホールに俺らははまってやってきてて、それはさっき言ったけど、もしかしたら人によってはレゲエではないんかも知れんけど、俺はこれにはまって、これがレゲエやでって思って作った1枚。例えばBUSYがJAY-Zのオケにのってもレゲエって思うし、それはDeeJayができてるからで、そういうのを感じとってほしいかな。

 

HDM:行き着くところ「ジャマイカ人」ってことでしょうか?

JUNIOR:いや、日本人でもDeeJayやなって思うアーティストもたくさんいてる。一緒に作っててもそれはほんま感じるし。そうった人材がもっとでてきてほしいっていうのもある。

 

HDM:ちなみにそんなジャマイカ人との制作秘話などありますか?

JUNIOR:まずBOUNTYやな。いきなり「俺1人で来い」ってALLIANCEメンバーもほとんど行ったことない別宅みたいなところに車の迎えまで来て呼びだされて、着いたらバスローブ姿のBOUNTYが出迎えてくれて、「ヤバい!もしかしてホラれるんちゃうか!?」って一瞬思った(笑)。まぁ、さすがにそれはなかったけど。

 

HDM:(笑)。ちなみに話は何だったんですか?

JUNIOR:シーンを作ってきた人やし、今まで話してきたような「レゲエとはなんぞや」みたいな話と、やっぱりMAVADOのことやったかな。今回収録されてる曲もMAVADOのことやねん。だいぶ本気で怒ってんな。どっかのステージでBOUNTYのことディスってて、それにめっちゃ怒ってる。まぁ個人的にもちょっとMAVADOがスウィッチかなって思う。BUSYとかどんだけ売れてもリスペクトかかさへんし、WAYNE MARSHALもELEPHANT MANもそこは変わらんやん。そこらへんKARTELとMAVADOはちょっとキチガイかなって思う。俺はどんだけ人気あっても、ハイプし過ぎたヤツとはあんまり仕事したくないかなって思ってる。あとCOBRAはけっこうメチャクチャやったな。とりあえず朝から競馬つれてかれて、わからんのに賭けさせられて、そっからサッカー見に行って、そしたら自分もその中に入ってサッカーしだして、最後は疲れたから今日はもうおしまいやってノリで帰るみたいな。「何これ?」って感じやった(笑)。CAPLETONもいつもそんなんあるな。自分の家でブランコ乗りながら社会の話とかずっとしてる。「もぉええって」ってなるよ(笑)。そんなノリわかってたし、俺もジャマイカ滞在中は暇ちゃうから呼び出し電話にも「今は無理」って何回か断っててんけど、「曲できたから来い」って言われて、そのときちょうどジャマイカに滞在してた三木くん(DOZAN11)とBES連れて行ったら案の定曲できてなくて、3人でひたすらできるの待つっていう…なんとも言えん感じやったわ(笑)。でもそこから半日くらいで曲できてんけど。あとASSASSINは去年録っててんけど、そんとき、目ん玉に入れ墨入れてるALKALINEがちょうどでてきたときで、エンジニアも含め「気持ち悪い、バティボーイだ」ってだいぶ悪口言ってたのに、この前そこ行ったらALKALINE人気でたから「ALKALINEヤバい!」って変わってたからな。そういうとこジャマイカ人らしいは(笑)。

RELEASE INFORMATION

RED SPIDER|HARDEST MAGAZINE 2014年7月発刊号掲載

RED SPIDER / BYE BYE BADMIND
UNIVERSAL MUSIC
UPCH-1985
2600円(税別)
2014年7月16日発売

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