ローホー|音楽というものは人間の断片 もしくは人間そのものだ(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)

ローホー|音楽というものは人間の断片 もしくは人間そのものだ(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)

interview by CHINATSU MIYOSHI photo by JUNYA S-STEADY

 

HDM:正しい選択だと思います(笑)。

ローホー:でしょ(笑)。そのほうが絶対におもしろいところに行けるって思ったから。街のコアでおもしろい場所を知っているのはそいつらだから。そこで実際におもしろい経験ができましたよ。NASがたまたまライブやってるのを見れたり。連れていってくれた現地のヤツが「こいつは俺のアミーゴだから」と言って、ドリンク代だけで会場に入れてくれて。アジア人なんて俺くらいだったから「チャイニーズ?ジャパニーズ?なんでこんなところに?」みたいな視線を浴びせられながら(笑)。でもね、それが功を奏してみんなが声を掛けてきてくれて…まあ、酔っぱらうのには何も困らない状態でした(笑)。向こうで経験した現場は、俺の国籍もネームバリューも関係なくて、俺がやる音楽が良ければ、ただそれだけでみんな踊り狂ってくれましたね。

 

HDM:一番最初に音楽に触れたのは?

ローホー:初めてギターを弾いて曲を作ったのは12、13歳くらいかな、中学1年生のとき。両親が音楽好きで。キャロル、ストーンズが大好きな2人でしたね。お互いが通っていた音楽系の専門学校で、母親がRCサクセションのバッグを持ってたことで親父がナンパしたって聞きました(笑)。だから家でも常にロックやブルースが流れていましたし、子供は親の影響をモロに受けるじゃないですか。だから俺も自動的にその価値観を受け継いで。今振り返ってみると、両親の影響はデカいですね。母親は俺がギターのコードを覚えたときに「自分の曲を作ってみなさい」ってすすめてきて。「どうやって作るのかわからんし」って言ったら、「いま自分が思っていることを、音にハマっていなくてもいいからとりあえず書いてみなさい」って。

 

HDM:詩を書くことを教えてくれたんだね。

ローホー:そう。母親は俺が18歳のときに亡くなってしまったんだけど、俺の才能を最初に見出してくれた。

 

HDM:そのときの詩はどんな内容だったんですか?

ローホー:たぶん、「学校つまんねえ、だから俺は部屋にこもってツイストを踊るぜ」みたいな、そんな内容だったんじゃないかな(笑)。それで、できた曲を母親に聴いてもらってました。よく誉めてくれるから調子に乗ってましたね(笑)。高校を卒業してからは、1年ほど母親の闘病に付き添っていたんだけど、母親が亡くなったとき、「もう俺の人生でこれ以上悲しいことはない」って思って、そこからはもう自分にとって恐いものがなくなった。

 

HDM:お母さんの死で、何かを達観することができたんですね。そこから音楽を真剣にやり始めたんですか?

ローホー:そう思ってもいたんだけど、「手に職をつけなさい」という母親の意志を受けて、靴職人を目指して服飾系の専門学校に通っていたり…まあ3カ月で学校側と喧嘩して辞めちゃいましたけど(笑)。それから就職しようとして、ある企業に研修に入ったんですけど、そのときからいい成績をあげていて、期待もされていた。だけど、本質的に無理なことを強いていたからか、頭おかしくなっちゃって、もう何もかもどうでもよくなって。仕事の帰り道にコンビニの袋を手にさげたまま、ふらふらの状態で車がバンバン通っている大通りのド真ん中で寝転んだんです。轢き殺してもらおうと思って。でもいつまで経っても轢かれなかった。

 

HDM:迷惑な話だけど、轢かれなくて良かった(笑)。

ローホー:ですよね(苦笑)。そのときに「いや、終わらせるのは違う」って気づいて。やっぱり自分がやるべきことは音楽なんだって。そのころに組んでたバンドでは、スカもロックもレゲエも、あらゆるジャンルの音楽を混ぜてやっていました。もっとオリジナルで、もっともっとブラックな音楽をやりたくて。そのときのテーマが“人間ジュークボックス”って言ってたんだけど、細分化されてしまった音楽のジャンルをまたひとつにしたいって思ってた。

 

HDM:ヒップホップとレゲエもあなたの音楽の大きな軸ですよね。アコースティックサウンドで、シンギングではなく韻を踏むライミングスタイルで歌うというのが最大のオリジナリティであるし。

ローホー:レゲエは、友達に連れて行ってもらったキングストンラウンジで見たラバダブに衝撃を受けたのがキッカケですね。それまではロックの現場によく行っていたんだけど、やっぱりそこは良くも悪くも往年のままで。「オープンカーに君を乗せて、ハイウェイをぶっ飛ばすぜ」みたいな。それももちろんカッコ良いんだけど(笑)。でもそれはあくまでも先人が作ったロックスタイルの“模倣”であって、リアルなものではまったくない。そう感じていた時期にレゲエの現場で見たものは、オンタイムで生まれている生身の怒りとかセクシーな気分とか、いろんな感情っていうテンションが凄い熱量で充満してた。エルヴィスやストーンズを見たときに感じたものと同じ波動を受けました。ヒップホップとレゲエ、ブルースやジャズに共通しているものは、「ゲットーから生まれるエネルギー」。つまり「最悪の環境を好転させる力」だと思う。最初はギターを持たずにラップだけをすることも考えたんですけど…これもまた数奇な出会いがキッカケで、生音でラップをすることになったんです。

RELEASE INFORMATION

ローホー|音楽というものは人間の断片 もしくは人間そのものだ(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)

ローホー / Garage Pops
ローホー / P-VINE RECORDS
RH-002
2200円(税別)
2016年3月16日発売

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