ローホー|音楽というものは人間の断片 もしくは人間そのものだ(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)

ローホー|音楽というものは人間の断片 もしくは人間そのものだ(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)

interview by CHINATSU MIYOSHI photo by JUNYA S-STEADY

 

HDM:数奇な出会とは?

ローホー:たまたま遊びに行った沖縄料理屋で知り合ったおじさんに、いきなり「君は演歌が好きなの?」って聞かれて。それで「え、演歌?いや、演歌はべつに…」って答えたら、「おまえ、迷ってるね」って言われて。「はあ、まあ…」みたいに曖昧に答えてたら、ギターを渡されて。そのときの俺の容姿は、どこからどう見てもアコギなんか似合いそうもないチカーノスタイルだったのに、そのおじさんに「おまえ、ギター弾けるだろ?セッションやろう。三線と」って言われて。よく聞いたらそのおじさんは三線の世界で凄く有名な人だったんですけど、「おまえの曲を弾け」と言われるがままに弾いてみたら、その場にいたみんなが「君ヤバいね!」「いいね!」って凄く沸いてくれて。演奏終わったあと、そのおじさんに言われたのが、「な、これだろ。君が持ってるもの。ちゃんとあるだろ」って。「これを大事にしろ」って言われてから、この先ギターは絶対に離さないって決めた。

 

HDM:…凄いキッカケですね。アコギのボディを叩きながらリズムを取ってラップする、というスタイルはどこから?

ローホー:あとから知ったんですけど、俺がやっているスタイルにはスラム奏法っていう名称があるみたいです。こういう…(手元のアコギを引き寄せて演奏し始める)

 

HDM:凄くスピート感があって、スパニッシュギターのような印象も受けますね。

ローホー:うん、そういうのも好き。たぶん、いろんなものをダイレクトに吸収して影響を受けてしまう体質。だから俺のやっているスタイルは、見聞きした人それぞれが影響を受けてきたものに見えるんだと思う。ブルースであるし、ロックであると同時にヒップホップであるし、スパニッシュでもあって…っていう。だから、現場によってはどうやってのっていいのかわからなくて、ステージの最前列でポカーン…ってなっているお客さんもときどきいますね(笑)。

 

HDM:見たことのないものを初めて目の当たりにしたときの、正しい反応ですね。

ローホー:でも僕自身は、すべてを総括してポップスをやっているって思ってる。僕にとってのポップスの定義は、「音楽の知識や興味がまったくない人たちも虜にできるもの」だと思う。ジャンルもコマーシャルパワーも一切を取り払って、人の心を捕らえるもの。

 

HDM:そういう本能的な部分に働きかけるものですよね、きっと。

ローホー:うん。その力が世界中に広まるのがポップスのパワーだと思う。そういう存在…音楽になりたいって思ってる。

 

HDM:ローホーにはその力が凄くあると感じる。ひとつだけ願望があるんだけど…これからローホーとローホーの音楽が“世界のポップス”になっても、この酒場の、バーの空気は忘れないでくださいね(笑)。

ローホー:ハハハ!それはもちろん。それは俺が一番好きな場所であるし、いろんな人たちとそこで出会ったからこそある今だと思うから、心配しないで大丈夫(笑)。

 

HDM:(笑)。そういえば今セカンドアルバムを制作中とか?

ローホー:そうなんです。俺は、昔からあるもんを使って新しいことをするのが好きなんです。今作も古いんか新しいんかわからんことをして、ライブで戸惑ってる初見のお客さん見て笑えたらいいなと思ってます。たまに直球でわかってくれる人も中にはいるから、それも見つけたいしね。

 

HDM:新しい作品はどういう内容に?

ローホー:常におもしろいこと探してるんで、今の俺のおもしろいをどんどん書いていってます。ちなみに今はインドと落語と政治にハマってます。前作のシャカリキな自分より、今のほうが深みのある曲が書けてると思います。経験値が前作を出してから、先輩たちのおかげで山ほど増えましたから。

 

HDM:これから先、音楽家として理想とする存在の仕方は?

ローホー:僕は暗躍したいんです。顔は知らんでも、音楽は誰もが知ってくれてる状態が理想。だから人の曲を作ることもしてみたい。けど、無名の自分に歌を書いてくれなんてヤツもおらんし、人に任せてもらえるよう、自分を理解してもらうためにも今は頑張るしかない。そしていつか外国の必要な場所にいくつか小さな家を持って活動し、日本に帰ってきたら芸人さんたちと酒飲んで暮らしたい(笑)。

 

HDM:やっぱり世界を見てるんですね。

ローホー:そうなるためにも国内で頑張らなきゃいけないこともいろいろあるんだけど、最近はちょっと違うかなと思い始めてて。そもそも俺がやる仕事じゃないのかもって。日本で応援してくれる人や音楽は大好きなんやけど、音楽シーンの空気感はあまり好きになれないんです(笑)。でも「もっと進めば何かわかるかな?」と今はとにかく頑張ってます。それでも確実にわかったことがあって、こんな俺の歌に聴きほれてくれる人たちが意外に多いこと。俺にしか発散させれないその人たちのストレスはほってはおけない。何か力になりたいんです。俺も誰かに力になってもらいたいことがたくさんあったから。早くアルバムを出して、また世界中死ぬほど遊んできます。まだ俺、始まったばかりなんで。

 

RELEASE INFORMATION

ローホー|音楽というものは人間の断片 もしくは人間そのものだ(HARDEST MAGAZINE 2018年4月発刊号掲載)

ローホー / Garage Pops
ローホー / P-VINE RECORDS
RH-002
2200円(税別)
2016年3月16日発売

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