「70、80歳になってもライブ写真を撮り続けてる自分でいたい」写殺カメラマン“青木カズロー”

「70、80歳になってもライブ写真を撮り続けてる自分でいたい」写殺カメラマン“青木カズロー”

interview by SHO from EDGE OF SPIRIT photo by 青木カズロー

 

HDM:そういう経験を積み重ねてこその今やね。これからどんな感じでやっていくの?カズローの目指すところって何なのかなって。何になりたいのかなって。

青木カズロー:わかんないっす(笑)。でも自分が“ライブカメラマン”としてやり始めたころから、ライブカメラマンやライブ写真はもっと音楽業界で立場が確立されるべきだと思っていて。ずっとそう思いながら活動してきたから、自分がどうこうっていうのはあまり考えたことがなくて。最近そういうことを考えるとほんとわかんなくなっちゃうんですよね。でも、70、80歳になってもライブ写真を撮り続けてる自分でいたいなとは思っています。今はありがたいことに仕事をたくさんもらって、なかなか自分の写真を撮る時間がとれないですけど、もしいつか仕事ももらえなくなったら、またライブハウスにお客として行って、好きなハードコアバンドの写真を撮るだけなんで(笑)。

 

HDM:うん、俺もそうあってほしいと望んでる(笑)。仕事じゃなく好きで始まったことが仕事になって、それは凄く素晴らしいことやけど、それが仕事じゃなくなったときも、それを続けといてほしいなって。個人的な意見やけど。

青木カズロー:でも、歳をとって若いバンドの良さをわかんなくなっていくのだけは嫌だなとは思ってますね(笑)。

 

HDM:それは永遠のテーマよね。カッコ良い悪いは置いといて、それを認める気持ちを持てなくなるんやったら、そのときは俺もバンドを辞めようと思ってるよ。

青木カズロー:今はまだ初期衝動のころ撮ってた好きなバンドの動向が気になってしてるので、俺は大丈夫だなって思ってますよ(笑)。これをもし忘れだしたら、俺がカメラマンとして終わったときですよね。

 

HDM:若いカメラマンと話したりする?

青木カズロー:うーん、してないですね。あまり興味がないというか。近寄っても来ないですし(笑)。

 

HDM:青木カズローの分子を育てようとか思ったことないの?カメラには詳しいんかもしらんけど、どいつもこいつも「お前わかってるか?」っていうようなヤツばかりなんで(笑)。

青木カズロー:でしょ(笑)。自分もそう思っちゃってるから若い人とは話せないんですよね。まあ、インターンを取ってみるのはアリかなって最近ちょっと思ってはいるんですけど、後進を育てるってなんか俺が現役じゃなくなっちゃうんじゃないかって怖さもあって(笑)。まだまだ120%自分に力を向けて活動していきたいし。でもトラ(代役)を立てなきゃいけないときや、チームを組んでやらなきゃいけないときもあるんで、選択肢はほしいなと思ってて。若い人にチャンスはあげたいけど、今はまだ気になる若いカメラマンがいないって状態ですね。たとえ年間ライブに100本行ってようがフロアの後ろから見てるようなヤツには一生気づけない、ツバや汗が飛んでくるステージ最前列でしか感じられない、バンドが発するあの熱量。あれをみんな知らない。わかってない。今の時代そこから知って入ってくるヤツなんてまずいないから。俺みたいにカメラマンとして目立っちゃって、初めからそこを目指してきちゃう人がいるから、それも問題なんだろうけど、そうじゃないから。でもまあ、若い人と話すキッカケはほしいと思っているので、これ読んで勇気のある子は話しかけてきてほしいですね(笑)。

 

HDM:(このインタビューで)さらに話しかけにくくなったかもしらんけどな(笑)。カズローがダメだと思うカメラマンってどんなの?

青木カズロー:うーん…聞かれたからあえて言いますけど、写真って表現なんで、表現の仕方や方向性が僕の思ってるものと違ったってそれはまったくかまわないし、そういうものだと思うんです。でも、それを追求しようとしている人間なのか、そうじゃないのかっていう部分かな。みんなある程度のところまでは努力して頑張ったんだろうけど、それで食えるようになってそこで終わっちゃった人。どうやったらもっと良い写真が撮れるだろうかって努力じゃなく、どうやったらこの仕事が取れるか、どうやったら今の仕事を維持できるかばかり頑張っちゃってる残念な人。そういう人を見てると「何がおもしろいの?」って思っちゃう(笑)。そんなヤツが音楽業界に関わったりするから、どんどんこのシーンが居心地悪い場所になっちゃうんだよって。そういうヤツは全員消えろって思っちゃいますね。もうひとつは、ライブという現象の邪魔をしてしまうカメラマン。これは話にならないです(笑)。

 

HDM:そんなヤツらは全員殺したったらええねん!写真でね。写殺(笑)。では最後に、何か具体的な予定とか報告ってある?

青木カズロー:そうだなあ…何にもねーんだよなあ…(笑)。でもまだ掲載できないけど、来年(2019年)9月に名古屋のアングラシーンには楽しいことあると思うんで、みんな楽しみにしとけよ!って(笑)。ほんと楽しみ!あと個展とかもまたやりたいですけどね。

 

HDM:やっぱパネルにデカデカと出力された写真は迫力があるよね。あまり使いたくない言葉やけど、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドのバンドを写真として横一列に同じ土俵に立たせることをカズローはできるからね。

青木カズロー:いやー、やりたいっすね。来年(2019年)カメラマンとして10周年なんですよ。写真集出そうかなとか、今SHOくんが言ったような個展やろうかなとか、いろいろ考えてはいるんですけど、まだもう少し悩んでみようかなと思ってます(笑)。

 

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