EARTH CRISIS|ストレートエッジは一生涯の決意 続けることにこそ意味がある

EARTH CRISIS|ストレートエッジは一生涯の決意 続けることにこそ意味がある

interview by HIDETA(CYCOSIS / BRAVE OUT / WRONG STATE / BRIGHTSIDE BOOKING) phot by HOSHINA OGAWA

 

HDM:EARTH CRISISのみんなと出会った街について教えてください。

KARL:俺たちはみんなニューヨークのシラキュースで育ったんだ。5区(マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランド)からずっと北にあって、5区よりもデトロイトに近い感じだ。運送業者の工場とか、ほかにもたくさんの工場があったけど、俺が若いころにはもうどんどんと閉まっていって絶望感に満ちていた。同時にお父さんや叔父さんがベトナム戦争から帰ってきて、誰もがみんな職に就けない状態だったんだ。近所の人間や町の雰囲気はどんどん変わっていったよ。軍隊や戦場でいいように使われてきた人たちが、どんどん不必要とされてきたんだ。そんな現実に俺たちは暗い将来を見すえるしかなかったよ。更にそう思わせるのはシラキュースにあるオノンダガ湖。そこは今日この日まで見てきた北アメリカの場所で最も汚染された場所なんだ。メキシコの湖に次ぐ汚さだ。クルシーブル・インダストリーズっていう鉄工場があって、そこが有毒廃棄物をそのまま湖に捨ててるんだよ。そういった環境で俺たちは常々意識させられたんだ。それらは俺たちの命に直接関わっていたんだ。北にはアドランダックっていう山脈があるけど、そこに嵐がきて、雲がきて、酸性雨に湖の魚が殺され、水草が殺された。産業の繁栄のためにね。そういったことが目の前で起こってたんだよ。

 

毒性の強い湖としてオノンダガ湖が取り上げられている。
https://jp.sputniknews.com/science/201711114265942/

 

オノンダガ湖には汚染による突然変異で生まれた怪物の都市伝説まで。
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-22.html

 

HDM:ニューヨークの5区から遠いところで育ったわけですが、そっちのシーンからの影響は大きかったですか?

KARL:間違いないね。CBGBでたくさんの西海岸のスラッシュバンドを見ることができたよ。SUICIDAL TENDENCIESとかDRIとか。あとニューヨークのバンドもね。CRO-MAGS、SICK OF IT ALL、AGNOSTIC FRONT…本当にラッキーだったよ。

 

HDM:あなたやほかのメンバーがベジタリアンになった経緯を教えてください。

KARL:叔母がベジタリアンだったんだ。そして叔父は、もう亡くなっちゃんたんだけど、若いころシカゴの畜殺場で働いてたんだ。あるとき、叔母は叔父が働いてる現場を見てしまって、そこから家に帰って二度と肉を食べないことを誓ったんだ。それで僕は叔母からそこで起こってることを聞かされて学んだよ。けど80年代半ばに知り合ったシラキュースのストレートエッジシーンの子たちの多くはベジタリアンだった。俺もそうだし、DJもそうだし、当時のスケート仲間でのちのEARTH CRISISのメンバーになったヤツらもそうだった。

 

DJ=DJ ROSE。EARTH CRISISの初期ボーカルであり、EARTH CRISISの名付け親。PATH OF RESISTANCEのボーカル。ちなみにEARTH CRISISという名はレゲエグループSTEEL PULSEのアルバムタイトルから取られた。

 

HDM:ストレートエッジになる上で決定的な出来事はありましたか?

KARL:あー、あるね。大人たちが祝日に開いてたパーティだ。俺は12歳くらいだった。そこで友達のお父さんがむちゃくちゃ酔っ払ってたんだよ。ふらつきながらベラベラと説教のようなスピーチを始めたんだ。それが俺の中で凄く気持ち悪かった。そしてこれは聞いた話なんだけど、そのパーティから3軒離れた同じブロックの家にダウンタウンで働く会社員の男が住んでて、その男は飲酒運転してたんだ。彼は車で歩道に乗り上げたり降りたりした末に、そこに歩いてた家族を1人残らずみなひき殺したんだ。けどそいつは生きてたんだ。それから免許を失ってからは毎日歩いてダウンタウンにある職場まで通ってたんだって。小さいころに聞かされたその話は心に刻まれていて、お酒を飲まない決断をする上で間違いなく影響があったよ。そんな悪い例を見聞きしてきたんだ。事実が導いた悪い例をね。

 

HDM:好きなストレートエッジソングをいくつか教えてください。

KARL:ストレートエッジの功績はIAN MACKAYEが書いたMINOR THREATの曲[STRAIGHT EDGE]によるものだ。あとDEPARTMENT OF YOUTH SERVICES(DYS)の[BROTHERHOOD]。この2曲のリリックは決定的だ。

 

MINOR THREATに関しては説明不要だと思うが、もし聴いたことがないなら何も言わずただこの映像を見てほしい。知っている人でもこの1983年BUFF HALLでのライブ映像はぜひ見返してほしい。

 

DYS[BROTHERHOOD]
嘘だらけの政治もシーン内のゴシップもクソ食らえ
僕らの友情は深い
今までの人生で最高の時間だ
本物だと信じている ボストンの友情

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