SODA!|シリアスな問題は置いといて、大人が全力で遊ぶとこうなってしまうバンド

SODA!|シリアスな問題は置いといて、大人が全力で遊ぶとこうなってしまうバンド

interview & photo by CHINATSU MIYOSHI

 

『PEACEFUL×FOOLISH=SODA!』とにかく楽しく生きたい大人達が集まって、とにかく楽しい音楽をやっている。SODA!というバンドの根底は、この一言に尽きると思う。これまで繰り返されてきた音楽的ルーティンを底から覆すべく、エキセントリックでグルーヴィー、そして時にセンチメンタル…。彼らのライブを観た人は、取り敢えず誰しもが口にするであろう。「何だこのバンドは!?」

 

 

HDM:今年始めに、大阪で初めてSODA!のライブを観たんですが、第一印象が「ドリフターズみたい!」でした(笑)!もうね、メッチャ楽しかったですよ。

全員:お~!

浅野忠信(Vo.):ありがたい!

 

HDM:音源に関しては今作が3枚目のアルバムということですが、楽曲はほぼ浅野さんが作ってらっしゃるんでしたよね?

浅野忠信:ですね。

村山尚也(Dr.):そうですね。基本的には、彼が9割方。

HDM:あとの1割は?

村山尚也:最終的には、メンバーみんなでセッションをしながら作りあげていくっていう感じですね。細かく言うと「いっせーのーで」ってセッションしたものを録っておいて、その中で特にいい部分を器用に巧く繋いでくるんですよ、彼(浅野)が。

HDM:セッションと聞いて、「やっぱり!」と思いました。ライブでも音源でも、そういう独特のラフさがすごく感じられるので。

高松優(Gt.):ほんとにそう。僕らはセッションありきっていうか、基本的にはみんなで「せーの」の感触で生まれたものを大切にしていく感じです。

 

HDM:それにしても、これはこのバンドの最大の魅力でもありますけど、ふと頭に浮かんだ思い付きのような思考をそのまんま歌い過ぎですよね(笑)。

全員:ハハハハハハ!

浅野忠信:いや、ほんとそうですよね(笑)。特に今回の楽曲は、撮影で訪れていた台湾で作ったものが多いんですけど、撮影が無かったり待たされる時間が割と多かったんで、そういう空きの時間を過ごしているなかでふと思い付いたこととか、自分の日常でリアルに起こったことを、ひたすら日記のように書き綴ってメンバーに送りつけていたっていう(笑)。

 

HDM:それらを受けてみなさんどう思いましたか(笑)?

村山尚也:ま~、とにかく一番驚かされるのは彼のペースですよね。曲を聴くのが追いつかないくらいのペースで新しい曲が矢継ぎ早に送られてくるんですよ。それを受けてですね…彼の曲に対するファーストインプレッションは、僕の場合「カッコいい」ではなく「なんじゃコリャ…」なんですけども、ハイ。

HDM:ハハハハハ!不可思議すぎると。

村山尚也:そう(笑)。歌詞もそうですけど、テンポとかもね…何て言うか…40代のオジさんの渋みや辛さみたいなものがとにかく「無い」から(笑)!ひたすらもう、踊っていくテンションっていう。何ていうかね…もう理解の範疇を越えたものをバンバン投げつけてくるんでね、僕なんかはひたすら「戸惑う」という一言に尽きるんですけれども。だから、いつもバンドで合わせてみて、歌詞が乗って初めてしっくりくるんですよ。「ああ、こういう感じの曲だったんだ」って。

松丸裕二(Ba.):(笑)。いやあ、俺はとにかく「いいなあ」って。彼(浅野)とは付き合いも長いし、彼が作詞作曲を始めた初期の頃の作品も知っているから、歳を重ねてきたことでまた深みが出て来ているなとも感じるよ。それに加えて、まだまだ見たことが無い新鮮さも備わっていて、ワクワクするような感じをいつも与えてくれるので、新しい曲が送られてくるのがいつも楽しみ(笑)。

高松優:今回のアルバムに関しては、とにかくスタジオで早く合わせたいって、僕も同様にワクワクする感じはありましたね。曲は相変わらず「またこの感じがきたよ…」って感じだったんですけど(笑)、すごいノリもテンポも良くて、音を合わせるのが楽しみで。

 

HDM:知人から「SODA!ってつまりはどんなジャンルなの?」と聞かれたんですけど「ジャンルで言うと、こういう感じ」とすら答えられなかったんですよね(笑)。「~っぽい」ってカテゴライズの類似が出てこないくらいオリジナルってことなんじゃないのかなって思うんですけど。

浅野忠信:それ、俺も考えてみたことがあるんだけど、じゃあ例えば「RCサクセションって何のジャンルなの?」って問われても、楽曲自体はロックだったりレゲエ調だったり、すごく遊びに溢れているじゃないですか。サザンオールスターズも、敢えて括ればバンドだし、じゃあロックなのかな?というくらいの認識だと思うし。だから、ジャンルというカテゴリーに関しては、もうそういうことでいいのかなって気がしますね。もうね、いい歳なんで「~っぽい」曲やスタイルみたいなものはこれまで散々やってみて、もう飽きたなと(笑)。だからSODA!に関しては、今まで自分が影響を受けたあらゆるもののいいとこ取りで、ジャンルはどうでも自分が楽しい、楽しめる状態を作りたいっていうか。そしたらこういうことになったっていう(笑)。

 

HDM:『ハッピーバースデー!』は特にその傾向が強いというか…つまりこれ、「なんの歌なの?」ていう(笑)。

高松優:そうそう、その感じね(笑)、けっこういつも言ってるんですよ彼(浅野)に。「これ…何言ってんの?」って(笑)。でも結局、この「訳のわからなさ」がいいんですよね。「よくわかんないなコレ」でも正解っていうか。歌詞カードに書かれてある字面を深追いせずにそのまま受け取ってもらっても全然いいし。うん、意味はわかんないよね(笑)。

浅野忠信:俺は充分わかってる(笑)。

村山尚也:本人だけいつもしっかりわかってるんですよ(笑)。レコーディングの最終日にね、ご飯食べに行こうってみんなで車に乗ってた時に自分たちの音源を車中で流してたんですけど、満場一致で「何なんだろうねコレ??」ってなりましたからね(笑)。

HDM:ハハハ!もう自分たちですら理解が追いつかないっていう(笑)。

村山尚也:ほんとほんと(笑)。「何これ?」「こういうジャンル、誰か聴いたことある?」っていう。なんか、僕ら自身の中で具体的に「こういう音楽を目指していこう!」っていうイメ−ジ自体がそもそも薄いっていうのはありますよね(笑)。

 

HDM:これって、本当に大変失礼な話かと思うんですが…SODA!に対する個人的な第一認識としては『俳優の浅野忠信がやっているバンド』というところで留まっていたんですよね…。さらに言いますと…『有名俳優が趣味でやっている』という先入観もありましてですね…ごめんなさい、ドツかないで(笑)!

浅野忠信:ドツきません(笑)!

HDM:(笑)。つまり勝手な先入観で「バンドとしての価値はどうなのか」という疑念があったわけなんですけども、今年になって初めてライブを見て、簡単にその先入観が覆えされて今に至る。無心でノレるし、シンプルに楽しかったんです。だからね、SODA!の楽曲で身体が揺れている自分を自覚した時、なんかメッチャ悔しかった…(笑)。

全員:イヒヒヒヒヒ。

村山尚也:してやったり(笑)。

 

HDM:ところで、メンバー編成としては…みなさんは「お友達」?

浅野忠信:まさに「お友達」です(笑)。もう気心が知れている仲間だから、面白がれるツボというか感覚が通じ合っているんじゃないかと思うんですよ。この3人(浅野・高松・松丸)では『SAFARI』というバンドもやっているんですけど、この3人だけでスタジオに入る機会が多くて、そういう時にこの3人で作る曲がわりといいのが出来たりしたのでね(笑)。

 

HDM:そんなこと言われて、しまいにはこんな面白いバンドまで組まれたらSAFARIの残りのメンバーさん切ないじゃないですか(笑)!

浅野忠信:ハハハ!いや!残りのメンバーも凄いセンスの持ち主なんですよ!でも、この3人で作るものもいいなあってことで(笑)。村山君なんかもね、すっごく面白いキャラクターしてるでしょ?

村山尚也:…ね、別にドラムテクニックとか音楽的なセンスで選ばれたんじゃないっていうね……。

HDM:面白キャラクターを買われたっていうね…。

村山尚也:ね…。たまたまドラムが叩けたっていうだけのことで…。

HDM:いや!コークヘッド・ヒップスターズという大御所バンドでドラムを叩いていらっしゃった方に「たまたま」なんてことはないです!

村山尚也:いやいや…。あ、でも僕がもしあのままコークヘッドのドラムを続けていたら、SODA!はやっていなかったと思うんですよ。

 

HDM:その理由は?

村山尚也:まずバンドを両立する余裕なんて無かっただろうし、そもそもコークヘッドを辞めた頃は再びバンドをやるつもりなんてなかったんですけど、彼(浅野)に声をかけられて、せっかく誘ってくれたんだから、断る手はねえなと。そう思えた理由のひとつとしては、すごく気楽に「みんなでちょっとパーティーやろうよ」くらいのノリだなと思って…いや、思っていたんですけど、現状としては結果的に「あら!?けっこう本気でやるんじゃねえか?!」っていう(笑)。

 

HDM:あ、本気なんですね(笑)!

村山尚也:え!?僕たち意外とね、本気なんですよ(笑)!

高松優:これは、いい悪いの意図はまったく無いんだけど、世の中の多くのバンドって意外と「遣う必要の無い神経」を遣い過ぎているんじゃないのかな?」って気はするんだよね。「そういうとこに気を遣うの?」って思うような部分に神経持っていかれちゃってるように見えるから、もっと本来持っているはずの楽しさとか、純粋にテンションがあがる感覚とかに心を向けた方がいいのになって感じることはあるよね。

村山尚也:うん。なんか、そういう「心の原点に立ち返りたい」っていう感覚、40代になってから余計に欲するようになってきた気はする。

 

HDM:SODA!は、いわゆる「商業的成功」を求めるバンドでは無いという。

高松優:うん。そういう精神的な根源の部分は、例えば自分たちの表現が商業的に成功しようが、金銭が付いてこようが別に変わらなくても済むはずじゃないのかなって思うんですよ。まあ、僕たちはそれぞれにバンド以外での職業を持っているし、音楽活動を生業にしないといけない義務感みたいなものも無いからっていうのも大いにあるかも知れないけど、自分たちが楽しみたくてやっていることだというのが一番大きいし、それが出来るだけ大勢の人たちに派生していったら嬉しいねってことで。

 

HDM:じゃあ、SODA!の「バンドを本気でやる」という「本気」はどういう状況にかかってくるんでしょう?

浅野忠信:うーん……あ、わかった!俺らがやりたいのは「本気の盆踊り」。盆踊りってね、あれ、櫓の上で祭り囃子を鳴らしている人達がメインじゃないでしょ?フロントの存在は、お囃子に乗って踊っている人たちで。俺ね、小さい頃からほんとに盆踊りが好きで。

村山尚也:あれって、大人になってもなんかワクワクするんだよね(笑)。

浅野忠信:未だにそう。あれって、本来の意味はお盆に死者を迎えて、また送り出すっていう儀式的なものらしいんだけど、そういう民族的なルーツも含めてすごくファンタジーの世界に入っていけるんだよね。俺はそういう空間を作りたいんだなって、いま改めて考えてみて思った。最初に、俺らをドリフターズみたいだって言ってくれたけど、それってフロントマンとして自分たちを一方的に見せるんじゃなく、あくまでも「観客を沸かせる」っていうことに重きを置いているという点では、確かに通じるところはあるのかも知れないね。

 

HDM:そう、ドリフターズを感じたっていう比喩は、決して「コミック的だ」とう意味じゃなくて、いま仰ったような感覚です。

浅野忠信:うん、すごくよくわかる。

松丸裕二:一見すごくラフだから、本当に思い付きをそのままやっちゃってるだけのように見えていると思うし、俺らにしても全然それでいいんだけど、実際はすごく色々考え抜いてるんだよね。盆踊りもさ、同じことの繰り返しじゃない。「踊り踊るなら~」のリピートで。それで言うと、確かにSODA!の音楽もワンフレーズの繰り返しで構成されてるんだよね。それってすごくシンプルに「完成するのに必要なもの」がそのワンフレーズに収まってるってことだと思うんだよ。俺らの楽曲は1分強の短い曲が大半を占めているんだけど、多いも少ないもなくて「うん、これで完成じゃん」っていう感覚がしっかりとある。

 

HDM:潔いまでに簡潔であるが故に、フレーズが逆に耳に残るんですよね。

浅野忠信:これまで散々ほかのバンドで長たらしいメロディーと言葉を並べてみた結果「なんかこれ違うな」と(笑)。

HDM:違うとは?

浅野忠信:常々思うことなんだけど、例えば好きなバンドの曲について、1番から3番まで歌詞が揃っているにも関わらず、ふと口ずさんだ時に「相変わらず2番から3番までの歌詞の記憶がボンヤリとしているな…」って感覚ない!?

 

HDM:すごいある!ていうか大体そうかも…(笑)。

浅野忠信:やっぱりあるよね!?俺も、30年近く好きで聴いてる曲ですらそうなんだよ?「じゃあ1番だけでいいじゃん!」って思って。だからSODA!は「1番を死ぬほど歌える曲」をやるバンドでいいなって。それならカラオケ行った時でも「2番からの歌詞が自信ないから、歌うのやめとこうかな…」って気後れする必要もなくなるじゃない。だって1番の歌詞しかないんだから(笑)。

 

HDM:その結論に行き着いたの凄すぎるでしょ(笑)。なんか開眼した気分になっちゃったじゃないですか(笑)。

浅野忠信:ハハハ!そう思ってから一時期ね、PEACE PILLってパンクバンドでサビだけの曲を死ぬほど作ってみたの。……まあ、全然ダメだったんだけどね(笑)。でもスタジオで合わせてる時に、ある瞬間にすっごいハマる時があるの。例えばビートルズの「LUCY IN THE SKY~…」の部分でもいいんだけど、そこを延々繰り返しやっていると、ビター!とハマった時にすっごい気持ちよくなるんだよね。うまくいくとそうなるんだけど、それって極地だし、そこまでいくのってすっごく難しいからやめたんだけど(笑)。

HDM:やめたんだ(笑)。SODA!では、形を変えて似た試みをしているってことなんですね?

浅野忠信:そう。サビだけじゃやっぱり厳しいから、歌パートとサビパートのメリハリをつけて、それでも簡潔なものに仕上げる努力をしてます。

 

HDM:リピートの小気味よさで、私が一番好きなのは『ストレート!』なんですけど、「俺に、LSDは、要・ら・な・い!」という、まさにストレートな歌詞で。LSDやらヘロインやら、取り扱い注意の用語をそのまま使っちゃってますけど大丈夫なんですね(笑)?

村山尚也:え、マズいの?どうなんだろう?

浅野忠信:そんな人気バンドでもないから大丈夫なんじゃないのかな(笑)?

HDM:ユルい(笑)。

浅野忠信:もし怒られたら「とりあえず謝ろう」っていうのがバンドのコンセプトだからねえ…。

村山尚也:知らなかったんだからしょうがないっていう。

 

HDM:今作のアルバムについて、それぞれ思い入れの強い曲はどれになりますか?

村山尚也:う~ん、僕は『ジプシーダンス!』ですかね。

(※サビの「はじけてる~はじけてる~」を数秒間、全員で合唱。)

村山尚也:バンドで合わせてみてノリがわかった時に、すごく腑に落ちた曲なんですよ。何ていうか、曲が持っているイメ−ジや雰囲気とか「こういうテンションで作られた曲なんじゃないのかな?」っていうのが一番ハッキリわかったっていうか。今までやったことの無い曲でもあるし、なんか面白かったですね。

 

HDM:高松さんは?

高松優:俺は、なんだかんだ言って『ハッピーバースデー!』かな。この曲を聴いた時に「あ~また出た、こういうの」って思ったんだけど(笑)。この曲のギターソロを弾いた時に、ギター始めた初期の頃にこういう感じの演奏をやっていたのを思い出したというのもあって、そういう個人的な想いとリンクしたこともあって、好きな曲ですね。

 

HDM:松丸さんは?

松丸裕二:前にインタビュー受けた時には『スマイルメロディ!』って答えたことがあったんだけど、この曲は歌詞も曲調もすごく心地良くて好きなんですよ。でもせっかくなので、あともう1曲を選ぶとしたら『赤く染まるまで!』かな。なんだろうな、この曲は(笑)。なんか、スクーターで駆け回っていた10代の頃を思い起こさせるような…。1人でそう感じていたら、名古屋のライブで知り合いから「なんか…中3に戻れたよ」って言われて嬉しかったね。

高松優:音楽ってさ、すごい過去の思い出とリンクしてるじゃない?俺、中学の頃にすごいBOOWYを聴いてたんだけど、その時の状況と聴いてた音楽ってセットで蘇ってくることあるよね。

 

 

HDM:みなさん決まって「感傷的になる記憶=中学生」になってるのも面白いですね。高校生とかではなく(笑)。

村山尚也:たぶんね、音楽にしろファッションにしろ、新しいカルチャーに少しずつ触れ始める時期が中学生くらいからなんでしょうね。いろんなものを知っていろんなものを取り入れ始めた頃に受けた「カッコいい!」っていう最初の衝撃を、40代になってもひきずっているっていう(笑)。

 

HDM:浅野さんは?

浅野忠信:俺は『抱きしめたい!』かな。確か、このアルバムでは一番最初に作ったのがこの曲だったんだよね。ファーストのタイトルにもなっているから余計に思い入れがあるっていうか。ぶっちゃけて言うと、出来上がった時は自分でも「何コレ?」って思ったんだよ(笑)。「これヘタしたらメッチャだせえじゃん」って(笑)。バンドで合わせてみても、ギリギリまで「やっべえな」って思ってた(笑)。でも何か捨てられなくて、散々俺のわがままをみんなに聞いてもらって、試行錯誤した結果「あ!こんな風になるんだ」ってすごいいい感じに完成することが出来て。歌詞もわりかし好きなんですよ。「外のことは放っておいて、2人で抱きしめ合おうよ」って内容でね。

 

HDM:「抱きしめたい」って言葉自体にも強い思い入れがあるんですか?

浅野忠信:この言葉はね、確かファーストの時に(高松)優が提案したんだよね。『抱きしめたい!』をアルバムタイトルにしようって。

高松優:そうそう、なんかふと思い付いて。アルバムのテーマの根底に「踊る」とか「はしゃぐ」とか、とにかくみんなに楽しんでもらいたいっていうキーワードがあったから、それをまとめた感情が『抱きしめたい!』に(笑)。

浅野忠信:俺たちって洋楽バンドを聴いて育った世代でもあって、洋楽のアルバムタイトルって必ず邦題がついてたじゃないですか。ラモーンズのファーストだったら『ラモーンズの激情』とか。ああいう、「邦題っぽい」雰囲気が好きなんですよ。

HDM:邦題って、けっこう原題を無視した突飛さというか、ちょいダサなんですよね(笑)。

浅野忠信:そうそう!「え?直訳したら全然ちがうじゃん!」っていうのばっかり(笑)。「なんで『抱きしめたい!』なの?」みたいなトンチンカンさがなんかいいっていうね。

 

HDM:ダサかっこいい(笑)。最新アルバムがリリースされたことですし、続くライブやツアーの予定は?

高松優:今のところは特に決まってないですね。やれる機会にやるって感じで(笑)。リリースがあったからツアーという流れにも特別こだわってもいないというか、僕たちのライブの最大のコンセプトは「曲を知らなくてもいいよ」なんですよ。そりゃもちろん、CDを聴いて遊びに来てもらえるのが嬉しいですけど、もし僕らの曲を1曲も知らないっていう人が初めてライブを見に来ても、充分楽しんでもらえると思うから。なので、たまたまブッキングできたタイミングで転々とライブにお邪魔させて頂くことになるんじゃないかなと思っています(笑)。

浅野忠信:俺たちのファンって、いわゆる増加傾向というよりは深化傾向な気がするんだよね。一度見て好きになってくれた1人がどんどん、メチャクチャ好きになってくれているって感じ(笑)。「そんなに俺らの事を楽しんでくれたんだ!」「わかる、だって俺もスゲエ楽しかったもん!」って通じ合えるようになれるっていうか。すごく愛してくれてるなって、身近な人でもその時ライブで会った人でも同等に感じられるんだよね。あとさ、子供も好きになってくれる。とあるライブで、以前も見に来てくれた子供が、その日のライブは夜が遅い時間帯だから観にこられないからっていうことで、リハーサルに顔を出してくれたんだよね。そこで、その子が好きな『真夜中のドライブ!』っていうセカンドに入っている曲をその子のためだけに演奏してあげたの。そうしたら、本当にすごく喜んで躍ってくれてね、あれは、すごく嬉しかった。

 

HDM:まさに老若男女の世代を越えて楽しめるっていう証ですね。SODA!は異色のバンドでもあるから、ライブ場所はいわゆるライブハウスのような一般的な「ハコ」と呼ばれる空間にこだわっているわけではないようにも見えますね。

村山尚也:ですね。この間なんかは、東京タワーでライブしましたよ。

高松優:ラジオ番組の収録の流れで、じゃあついでにライブもやってくださいってことで(笑)。俺らもちゃんとよくわかってなかったから、実際の現場は「ええ?ここで…?」って感じだったよね(笑)。

村山尚也:俺らのことなんか当然知る由もない観光客の前でね(笑)。でも結果として、そういう環境でライブをやったことが自信に繋がったよね。

浅野忠信:その場にたまたま居合わせただけのお客さんも、最初は「ああ、なんかバンドが出てきてライブ始めたな」くらいの通りすがりの見物程度だったんだけど、俺らはどこの誰の前であろうともちろんガッチガチにライブやるんで(笑)、最終的にはオバちゃんも『GET POWER!』ですよ。

HDM:オバちゃんも『GET POWER!』(笑)。

高松優:店員さんたちも『GET POWER!』ですよ(笑)。

 

HDM:これからの展望はありますか?

浅野忠信:それこそついこの間話したことなんだけど「もう作る曲が無い!」ってことに気付いたんだよね(笑)。

HDM:え(笑)?まさかのアルバム3枚で打ち止め?

浅野忠信:ファーストとセカンド、サードで出し切ってしまった感があるからさ、もう次に作るとしたら『GET POWER!』の弟子的な曲かなぁ。もうね、同じような曲しか作れないんだよね(笑)。だから「ああ、『GET POWER!』がやっぱりいいよね」って言ってもらえるような「かませ」的な曲を(笑)。

HDM:そんな…「やっぱりなんだかんだでうすしお味がいいね」って言ってもらう為の期間限定ポテトチップスみたいな…(笑)。

高松優:はは!最近も「あれ?俺らってこれ以上に新しい曲作る必要ある?」って話になったよね(笑)。

松丸裕二:新しい曲作っちゃうとさ、俺らってやりたがりだからライブでやるじゃない?そしたらどんどんライブの時間が長くなってっちゃうよね絶対(笑)。

 

HDM:なんか、こういうキャラクターのバンドって珍しいから、面白い地方の催し物とかでライブやって欲しいですね!都市部だけじゃなく、地方の僻地の変なお祭りとか!?

浅野忠信:あ!それいいよね?「僻地ツアー」。やってみたいやってみたい!

RELEASE INFORMATION

SODA!|シリアスな問題は置いといて、大人が全力で遊ぶとこうなってしまうバンド

SODA! / GOLD!
DOMOIZU
DMIZ-101
2300円(税別)
2016年5月4日発売

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