DOGMA|映画へのこだわりが生んだ“架空のサウンドトラック”

DOGMA|映画へのこだわりが生んだ“架空のサウンドトラック”

interview by HIROYUKI ICHINOKI

 

自身の初リリースとなったSATELLITEのアルバム、そして鎖GROUPから発表したソロ初のEP[gRASS HOUSE]のいずれのジャケットも映画に元ネタがあったように、DOGMAの音楽そのものにも実は映画が影を落としている。そして、近年PV監督としてもそのセンスを見せている彼がLORD 8ERZとタッグを組み、再び鎖GROUPからリリースする新作フル[DROPOUT SIDING]では、“架空の映画のサウンドトラック”(=さらに彼言うところの“はみ出してしまった人生のオムニバス”)がアルバムのコンセプトに。同じ映画好きとして、あの映画がどうとかこの監督がこうだとか、酒のひとつも片手にダラダラやりたいところをなんとか取材のモードに戻し、こぎつけたのがこんな話。近く公開されるアルバムからのPV[獣道]では、[凶気の桜]が知られる薗田賢次とも手を組んだ彼が口を開いた。

 

 

HDM:PV監督としてはもちろん、過去作のジャケットからも映画の影響は見てとれましたよね。

DOGMA:ジャケットや題名をもじったり、まあサンプリングですよね。

 

HDM:もともと映画好きだったんですか?

DOGMA:子供のころから映画が好きで、広く浅くが無理でどんどんかたよってくっていうか、ほんと範囲は狭いんですけど。そっからパンフレットだったり前売のチケットの半券のデザインとかに「カッコいいなあ」とか「ゾクッとするなあ」みたいのもありましたね。

 

HDM:出会いとしては音楽より映画が先?

DOGMA:ラップに出会うまでは完全に映画でしたね。ど真ん中のハリウッドのアクション映画、スピルバーグの[インディ・ジョーンズ]や[ジョーズ]、ジョージ・ルーカスの[スター・ウォーズ]みたいなのから、ティム・バートンの[バットマン]とか[ダイ・ハード]とか最初は王道なのが好きで、中学に入ってバイオレンスとかサスペンスのほうにいって、監督掘るようになってって。有名どこだとリドリー・スコットとかタランティーノとか、日本だと北野たけしとか黒沢が好きでした。

 

HDM:音楽嗜好的な部分でも映画が影を落としてる部分はあります?

DOGMA:トラックに関しても暗めの好みがあるんですけど、それも小学校のころからポップミュージックってのをずっと聴いてなかったんですよね、親の影響でたまに流れてくる歌謡曲を聴くぐらいで。あとはなけなしの金でサントラ買ったりしてる感じで、[ターミネーター]から始まってハンス・ジマーの[ザ・ロック]とかああいう行進曲的なやつだったり、ティム・バートン映画のダニー・エルフマンのファンタジックで暗いサウンドだったり。それでダニー・エルフマンってもともとはオインゴ・ボインゴっていうバンドやってるんだってところからそれ検索してみようかなって…変なところ深く掘ったり。

 

HDM:話は違いますが、今回のアルバムでも[ON DA ROCKS]の歌詞にポーティスヘッドとマッシヴ・アタックがでてきたりしますよね。そこもつながってるような。

DOGMA:ブリストルサウンドって全体的に暗いじゃないですか。ああいう悲しい曲に感銘受けたり、落ち着く瞬間があるっていうか。そういう、魂に語りかけるような一音で陶酔しちゃうなって瞬間が小学生のころからあって、脳内を圧迫してくるようなスモーキーなサウンドだけでいいなあ、歌詞が入ってこなくていいやって思ってた自分がいましたね。

 

HDM:逆にラップやリリックの面でも映画の影響ってやっぱりあります?

DOGMA:モロですね、たぶん。それでいうと映画の見出しっていうかタタキ文みたいなやつ(宣伝コピー)ですかね。好きな[エイリアン]だと「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」みたいな。文にすると怖いけど、たしかに宇宙には空気ないしなっていう…そういうのがたしかにって思うような的確なタタキ文が頭のどこか片隅に残ってて、リリックの表現になる感じはします。

 

HDM:それで言うと、今回のアルバムに収録された[狡猾の眼]の「クルーの遠吠えに血がまざるブルース」っていうラインなんかまさにって感じかも。

DOGMA:ちょっとありそうですよね。ああいうタタキ文ってほんとにそれひとつで映画全体が見えるし、ゾクッとしてたんで、それをどう自分の言葉に代えて伝えるかっていうのはありますね。

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