DOGMA|映画へのこだわりが生んだ“架空のサウンドトラック”

DOGMA|映画へのこだわりが生んだ“架空のサウンドトラック”

interview by HIROYUKI ICHINOKI

 

HDM:あと、ラップスタイルもそうですけど、リリックにもトゲがあるというか、目をそむけたくなるような光景や後ろ暗いこと、後味悪いことも今まで何度となく曲にしてきましたよね。

DOGMA:そればっかりですね(笑)。

 

HDM:それってどういう感覚なのかなって。そういう部分に目を向け続けるのって苦痛だったりしないのかなとも思うんですけど。

DOGMA:そこは潔癖症の人がちょっとしたほこりが目に付くのと一緒で。例えば包丁で指ざっくり切ってる友達見たら「うわっ、痛い痛い」ってなるけど、逆に自分のPVとかは血が飛び散ってるのばっかりなんで、そういう対極のフェチズムみたいのがあるんだろうなって自分の中では思ってます。

 

HDM:嫌いだからがゆえに逆に目につく、目をつけちゃうっていう。

DOGMA:街歩いててもゴミとか匂いとか、ションベンくさい路地裏とか、普通だったらただ汚ねえなと思うところを、「なんかこのションベン、ビタミンくせえな」みたいに一個一個気になっちゃって、文になってくそれが自分の中の路地裏歩いてる表現につながってくるのかなって思ってるんすけど。

 

HDM:べつに悪ノリとかじゃなくて、人が見過ごすようなことも突き詰めて見てみるってことなんですかね。子供時代からそういう性質があったんですか?

DOGMA:子供のころから地元でいろんな事件に巻き込まれながら自分の頭ん中で解決しちゃって、でもあとでやっぱりこうだったんだっていうのが自分の考えと違ったときに「あー、人間ってリアルだな」って思う瞬間があって。

 

HDM:物事の隠れてる部分にこそ真実があるっていうような?

DOGMA:例えばケンカでもそれを思わないケンカはケガの度合いが大きくてもあんま印象に残んないし、逆に大したケガじゃなくてもそこで印象に残るケンカがあったりして、そこで見えたものが曲に出てくる。そういうのが自分の曲のリアリズムにつながるっていうか、いいことばっかりがリアルじゃないって考えると、一瞬の幸せだったり一瞬のバッドなタイミングが自分の中のリアルになればいいっていうか。

 

HDM:今までにそう思わせるような何かがあったりしたんですか?

DOGMA:地元が杉並で一見閑静な住宅街なんすけど、壁一枚はさんで家庭内暴力があったり、ケンカで誰か死んだり、冷たい事件みたいなのが近所でも多かったんすよ。100メートル先の家で兄弟ゲンカがあって、兄弟のうち1人が刺し殺されて、もう1人は自殺するっていう事件が起こって。でもずっと近所に住んでいたのにその家に3兄弟がいたってことすら知らなくて、そっから先は想像しただけでもう闇でしかないみたいな。あとは自分の母ちゃんが宗教やってて人と違う教育方針があって、なんでこうなんだよって思ったりしたこととか。それに比べて親父は江戸っ子な感じだから、そういうのもフラットに見ての影響があって、それが曲にはいつも出てくるなと思うっすね。

 

HDM:なるほど。そこで今回の[DROPOUT SIDING]の話をしたいんですけど、このアルバムは“架空の映画のサウンドトラック”がコンセプトだそうですね。

DOGMA:最近の出来事やいろんな人生をくっつけたりしながら曲やスキットにしてるんですけど、映画に例えるとクエンティン・タランティーノとかコーエン兄弟の映画って、登場人物がとにかくぶっ壊れてる人たちが多いじゃないですか。[パルプ・フィクション]にしても黒人のボスを中心としたいろんなバカなキャラクターで構成されてるオムニバスというか。自分の人生もそういう感じだと思ってるんすよ。犯罪映画みたいな人生だとしたら、こういう馬鹿なヤツ、こういう狂ったヤツもいたとか。後輩1人とってみても、なんでそれをしてしまったんだとか、うわーやっちまったみたいな旅行先の出来事とかいろいろあったんで、どういうふうに書いてくかっていうのは今回いちばん考えたかもしんないですね。

 

HDM:架空のサントラだからというべきか、今回のジャケットは既存の映画からのサンプリングではなくて。

DOGMA:病気だったりドラッグだったり、ドロップアウトする理由にもいろんなものがあると思うんすけど、ひとつ“金”ってあるなと思って。金の中でもがいて、そこに生き血がしたたってるってイメージをたまたまGATTEM(LORD 8ERZ)氏に話してたところからきてるんですけど。

 

HDM:彼との共作はどうでした?

DOGMA:一言で「金」とか「闇」、「路地裏」ってテーマを言われても、今までと似たりよったりの曲が浮かんじゃうだけなんで、「これは路地裏にあるきったない水たまりに映った空のこと言ってほしいんだよ」って感じで細かく内容決めてった曲もあったり、曲について言い合うことも凄く多かったっすね。「お前どうしたいの?」「こういうふうなのっておかしいっすかね?」「いや、おかしいでしょ」とか。そういうふうにしてひとつの曲を作っていくってこと今までなかったし、(LORD 8ERZには)録音のエンジニアリングもしてもらって、口でこういう感じのベースにしたいとか、「この『あー』の声に合わせるタイミングでなんかギター音みたいの入らないすか?」とか要望が言えたんで、セルフプロデュースしてる感覚っていうか。

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