#サポウィズ|人が人を救うということ

interview by CHINATSU MIYOSHI

 

いつの時代も、まるで運を試されるような出来事が起こってきた。自然災害、テロや犯罪、事故。それらの不穏な事態によって心を掻き乱されるたびに、多くの人はこう考えるのではないだろうか。「祈ることしかできない」。だけど祈りと言うなら、例えばあの穏やかな街の教会でテロリストの爆弾と共に粉砕された彼らは、日曜日や祝祭のたびにきっと誰よりも祈りを捧げていたはずだった。“神に最も近い”はずの、あの神聖な場所で。祈りが無益だと言うわけでは決してない。ただ、状況や事態を変えるための方法はそれだけではないのだ。激しく突き動かされた心とともに、次はその身体を動かさなくてはならない。手を、足を、あるいは言葉を使って、うちにある祈りを体現しなければならない。「ボランティア」という、こんな手垢が付きすぎてしまったような単語の説明をあえてさせてほしい。それは、「傷付いた人が背負っている悲壮感を取り除く作業」ではないだろうか。過酷な運命の波に呑まれたとしても、生を継続するという幸運を守り抜いた彼らのこれからの人生が、穏やかで幸せに満ちたものであるように。

 

 

HDM:昨年6月18日に起きた「大阪北部地震」、その直後の「西日本豪雨災害」。あれから1年が経とうとしていますが、まだまだ支援を必要とされている方たちが大勢いると聞いています。そもそもみなさんはどういった経緯で集まったメンバーなんですか?

ハッチャン(写真 左):僕はずっと個人でボランティア活動をしながら、全国の各被災地をまわっていて、その活動の中でみんなとつながっていきました。

ケンボー(写真 中左):これまでにも募金活動なんかで個人的に支援はしていたんですけど、具体的にこのメンバーで現地で動くようになったのは大阪北部地震からです。

アダチ(写真 右):熊本地震のときに行きつけの居酒屋えれふぁんとのオーナーから声をかけてもらって、仕事と並行しながら数カ月に一度くらいの頻度で、連休をとれたときに現地に向かってボランティア活動をしていました。そうしているうちに、自分たちの地元である大阪でも大きな地震が起こったんですけど、そのときもすぐにオーナーから連絡があって、それですぐ被災地に向かって被害の状況を見に行きました。

ケンジ(写真 中右):僕はその大阪北部地震のときは震源地にほど近い高槻に住んでいて。家の中はぐちゃぐちゃではあったけど、幸いにもライフラインも通っていたし、暮らしを継続していける状態でした。でも、外には当然、生活を寸断された人たちもたくさんいて。「これは何かやらなアカン」って思ったときに、みんなと同じ気持ちを持った仲間が自然とえれふぁんとに集まって、この動きが始まったという感じですね。

 

 

 

-「#サポウィズ」の活動

 

HDM:「#サポウィズ」の活動意図はどういったものなんですか?

ハッチャン:みんなそれぞれそれまでにもボランティア活動をやっていたメンバーが集まっているわけなんですけど、#サポウィズの活動指針というのは基本的に、「自分たちのほかにも各地でボランティア活動をおこなっているチームのサポートをするという」、いわゆる「後方支援」という方法をとっているんです。

 

HDM:これまでどういったサポート実例がありますか?

ハッチャン:具体的には現場の状況によりけりなんですけど、例えば土嚢袋やブルーシートが足りないだとかの物資支援だったり、現場にいるもしくは行きたいんだけど動き方がわからないという人のために、活動しやすいようなシステムを作るとかですね。実際に現場で動いている方たちのサポートをしながら、実際に僕たちも現場で動いていますから、現場でのレクチャーなんかもやったり。

 

HDM:基本的には後方支援という型ではあるけど、臨機応変にマルチタスクで動けるということなんですね。

ハッチャン:そうですね。あと、僕たちは中間支援団体というか、ボランティアには当然ながら企業や行政なんかも深く関わってきますから、そこと民間活動をつなげることが実は凄く重要なんですね。その接点を確立してスムーズに動けるようにする役目も大きいです。動きやすい流れを作ることで、活動のフォローをするという。

 

HDM:ボランティアと言うと、募金というお金の流れと、実際に現場に入るという身体を使っての支援が主な活動だと考えると思いますが、「中間支援」の重要性はたしかにすごく大きいですよね。

ハッチャン:僕自身、各被災地でのボランティア活動も9年目になりましたし、伝えられるノウハウというのも持っているから、それを広げて共有することが大事と思っています。現場で動きたいという人や、僕たちと同じように後方支援したいという人たちにも。

 

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