#サポウィズ|人が人を救うということ
HDM:#サポウィズの発起人はMAN WITH A MISSIONのトーキョー・タナカ氏ですよね。東日本大震災以降、アーティストの支援活動も浸透している中で、#サポウィズの発足はどういった理由だったんですか?
ハッチャン:僕は、失礼ながらその時点では彼のバンドのことは存じ上げていなくて…。東京に住んでいる田中さんだと本気で思っていて(笑)。
ケンボー:ハッチャンさん、YUKIちゃん(JUDY AND MARY)しか知らないですもんね。
ハッチャン:そう…(笑)。東北や茨城で軽く会ったことがある程度だったんですけど、広島の支援をやっているときにきちんとご紹介いただいたのがキッカケですね。初めは東北の支援のために物資を送るという動きをしていたんです。でも支援という形はそれだけじゃないはずだと考えるようになって、次に熊本の支援の際には重機での支援を行うようになったんです。その時点では[九州ボランティア支援大作戦]と銘打ってたんですけど、「長いよね」「言いにくいよね」ってなって(笑)。
HDM:それはべつにいいじゃないですか(笑)。
ハッチャン:(笑)。「それに支援するのは九州だけじゃなくて、日本全国だしね」ということもあって、去年の6月に「#サポウィズ」と改めました。タナカさんは企業や行政とのやりとりを主にされていて、僕自身はなるべく現場に近いところにいたいという希望があるので、大きく言うとそういった活動分担でやっていますね。
HDM:日本では後追いのように各地で災害が起こっていますが、各地はどういった状態なんでしょうか。
ケンジ:大阪は昨年の北部地震に続いて巨大台風の直撃もあって、ボロボロになっているところがあります。いまだに修繕が追いつかなくてもう解体しかないという家屋も多くありますし、まだボランティアの手が入っていないエリアもあって、雨漏りしたままの家屋に住み続けている方もいます。どこに相談していいのかわからない、お金がなくて手が付けられないとか、ほんとうにいろんな事情でもとの暮らしに戻れていない人がたくさんいる。東北もこれだけ時間が経っていても完全な復興というにはほど遠いと思いますし、熊本、岡山…他の地域でもそうですね。
HDM:そうなってくると現場の状況のヒアリングというのが最優先で重要ですけど、それに対して行政というのはどういった動きをしているんですか?
ハッチャン:何ていうか…ボランティア団体というのはだいたい社協(社会福祉協議会 ※行政関与によって地域福祉や民間ボランティアの推進・支援を図る民間慈善団体の中央組織)とケンカしちゃうんですよね。
HDM:またどうしてケンカを?
ハッチャン:やっぱり行政の管轄なので、彼らのルール、規定ありきなんですね。例えば、現場からの要請で「ブルーシートが足りません」と言っても、ある程度の数が揃わないと渡せないとか。彼らの支援には「不平等にならないように」というスタンスであって、例えば、120世帯被災したとして、119世帯分しかブルーシートが用意できないとしたら、「じゃあもう配らない」という判断に至る。あとの1世帯が不平等になるからという理由で。まあ、これはあくまでもわかりやすく説明した極端な例なんですけど、状況や場合での臨機応援な対応というよりはルール。これが一番大事。
HDM:それって…
ハッチャン:うん。行政と民間というのは、本当に驚くくらいの距離がありますよね。僕たち民間の支援団体は市民側からの要請を直に見て聞いて、それを社協につなぐ役割を担っているんですけど、ここでだいたいケンカになるんです(笑)。
ケンジ:対応に「ハア!?」ってなって、ついつい噛み付いてしまう(笑)。
ケンボー:ルールに沿っているから、動きも凄く遅いんですよ。これまでにも日本各地で自然災害が頻発してますけど、その経験で各地の社協同士が連携していれば話が早いのに、これが驚くことに連携されていないんですよね。
HDM:そうなんですね…
ハッチャン:とは言っても、社協も行政からの委託ですから、彼らも民間と行政の間に挟まれている立場なんですよね。何でもそうなんですけど、それぞれの立場に限界ってあるじゃないですか。組織であればなおさら本人の意志に関わらず。支援をするべきだという根底の気持ちが同じなんだったら、行政の管轄にばかり向けてあれをやれ、これをやれと言うだけじゃなくて、僕たちのような民間支援団体が市民と社協の間に入って、ルールを無視して自分たちだけでは勝手に動けない彼らの代わりに僕たちが動くというような新しい動き方を見つけて提案していかないことには先に進まない。その交渉が、僕たちの役目です。これがなかなか骨が折れるんですけど(笑)。