Xmas Eileen|仮面バンドがいよいよメジャーシーンで暴れる(後編)

Xmas Eileen|仮面バンドがいよいよメジャーシーンで暴れる(後編)

interview by CHINATSU MIYOSHI photo by TETSUYA MASUDA

8月31日、フルアルバム『ONLY THE BEGINNING』を持してXmas Eileenがメジャーシーンへ本格始動。「自分たちを指すジャンルは無い」と言い切るほどフレキシブルな楽曲バリエーションで、自分たちは紛れもなくオリジナルな存在であるという意思表示を示した。バックボーンも素性も(基本的には)ミステリアスな彼らが、日本のメジャーシーンで大いに暴れてくれることを願う。

 

 

HDM:シュールな光景のサイン会お疲れ様でした!

全員:ありがとうございまーす!

HDM:外タレばりに、会場移動の合間を縫っての車中でのインタビューです(笑)。それにしても、みなさんどんどん社会性が身に付いてきていますね!

DJ:ひどい!

VOCAL L:今まで無かったみたいな言い方…

DJ:確かに更生中です!

 

HDM:(笑)。でも、自分たちのサインを求めてあれだけのファンが列を成している光景を見ると、改めて実感沸いてきたんじゃないですか?

VOCAL R:もうね、単純にすごい嬉しかったですよ。シンプルにその言葉しか出てこないくらい。

PERFORMER:うん、めっちゃ嬉しかった!

 

HDM:今回はね、前編に続いて後編のインタビューになるんですけど、あれから遂にメジャー第一弾のアルバムが出ましたね。前回、このアルバムについてお話していた意味がわかりましたよ。

VOCAL R:四次元なアルバムね、四次元。

 

HDM:そうそう。フルアルバムのボリュームというのもそうなった理由のひとつかも知れませんが、かなりバリエーション…というか、やりたい放題やりましたね(笑)。

VOCAL R:そもそも自分たちの音楽性を指すジャンルって無いと思っているから、その通りに自由にやらせてもらいましたね。激しい曲からメロウな曲まで幅広くやれるスタンスでいたいっていうのがあるんで、まず根底にあったのは「やりたいようにやる」ということだったんですよ。

 

HDM:作曲に関しては、バンドメンバーとは別にTRACK MAKERさんが手掛けられているんですよね。

VOCAL R:まずは俺が持っている「どういう感じで行きたいのか」っていう方向性のイメ−ジを共有するところからのスタートなんですよ。サビだけを先に作っていて、それを生かす為に音を足していって、肉付けしていってっていう順序が主体ですね。あとは、俺とVOCAL Lは自分が歌うパートのメロディーやラップを作るっていう個人作業があったり。

 

HDM:歌詞は?

VOCAL R:俺とPERFORMERとVOCAL Lが作ったり、サビだけその時に相応しい誰かに任せたりもするし…だから、曲の作り方もかなりフレキシブルで、曲に応じて構築の仕方って変わってきますね。何か絶対的な「こういうやり方」っていうのに固執すると、すぐに一辺倒なバンドや音楽になってしまうと思うから、それは避けたいですね。

 

HDM:みなさんの楽曲の…特に激しめの曲の大きな特徴としては、もの凄い転調するじゃないですか。

VOCAL R:うん、そうですね。あれはね、作ってて途中で飽きてくるからなんですよ。

全員:(爆笑)。

 

HDM:もっとこう…綿密な考察や技巧の話しが出てくるかと思ったのに(笑)。

VOCAL R:いや、ていうか!あ、俺ばっか喋っててあれやけど(笑)、俺とVOCAL Lっていう存在がいるじゃないですか。この声色やキャラクターの違うフロントマンが2人いて、それぞれが活きるやり方っていうのはすごく考えますよ。だから、楽曲優先というよりも「ボーカル2人が暴れられる最高の状態は何か?」ということが要点なんですよ。

 

HDM:ゴリっとしたハードコアのボーカルと、クリアなスイートボイスのボーカルの掛け合いが、このバンドの強みですもんね。

VOCAL L:スイートボイス…有り難うございます(笑)。これから自分のこと、「スイートボイス」って言います(笑)。

 

HDM:スイートです(笑)。今回って、ポイントとしては「メジャー進出」っていうのが冠に付くじゃないですか。その気負いってありますか?

VOCAL R:GUITARさん、どうですか?

GUITAR:気負い、気負い…いや、気持ち的にはいつも通りだったんですけど、今回は曲数が多かったし、単純に制作のリミットに追われる恐さみたいなのは味わいました(笑)。でも、そのリミット感の恐さがメジャー進出したんだって実感を強くしましたね。そんな環境の中でもアルバムを完成することができたから、この経験が今後に繋がっていくんだなって気持ちにもなれました。

 

HDM:PERFORMERさんは?

PERFORMER:僕はね、特にこれと言ってあんまりする事が無かったので、みんなの真似して「しんどいフリ」をしてましたね。

 

HDM:一応、他のメンバーに対する気遣いですね(笑)。

PERFORMER:そうそう。なんか、みんなしんどそうだったんでね。でもね、そんな僕でもメジャーデビューというモチベーションは上がっていたので、このエネルギーを一体どこにぶつけたらいいのか空回りばかりしてました。

全員:(爆笑)。

 

HDM:DJさんは?

DJ:ミートゥー!

HDM:ちょっと!サイン会疲れで面倒臭くなってるやろ!

DJ:面倒臭すぎる(笑)!

HDM:コラ!

GUITEAR:いや、お前のミートゥーは説得力ありすぎる…

 

HDM:ハァ…。じゃVOCAL Lさんは?

VOCAL L:僕は、特に気負いっていうのは無かったんですけど、曲制作に関して言えば歌詞だったりメロディーを作るにあたって「幅広い層に聞いてもらえるもの」についてはすごい考えましたね。

 

HDM:メジャーという環境を使って、自分たちのポピュラリティを試したかったと。

VOCAL L:そうですね。前からなんとなく考えていたことではあったんですけど、今回メジャーという機会を得て、改めて意識するようになったんですよね。

 

HDM:DRUMさんは?

DRUM:僕は…ほぼ気負いだけですね。

全員:(爆笑)。

DRUM:でもこれは「メジャーだから」ってことじゃなくて、このバンドを始動した時からずっと気負いで突き動かされていたようなところはあるので、その緊張感を維持したままメジャーというフィールドにスライドしただけだから、よく考えてみたらあんまり変わってないという…

 

HDM:でも、こんな質問しておいてあれですけど、そう言えば元々みなさんメジャーに対してそんなに執着心無いんですよね。

VOCAL R:そうっすね。全然無いですね。

 

HDM:という中でも、メリットはあるわけですよね?

VOCAL R:俺はメジャーというフィールド自体は特にどうでもいいと思っているし、メジャーとの契約なんてどっちでも良かったんです。ただ、メジャーデビューしたことで得られた大きなメリットは唯一、俺らのA&R…プロモーションの人たちとか、本当にこのバンドに対して熱い気持ちを持って関わってきてくれてることですね。インディーズではすべて自己完結で終わっていたから、僕らのことを信じて動いてくれている人たちがいるっていう状況がね、すごく有り難いし、メジャーに踏み込んだことでより見えたことですね。俺らっていう素材に対して魂をかけたいと思ってくれる人達が付いてくれるって、そういう人達と一緒に仕事が出来るって、これ以上のメリットって他にあるんかよって思うくらい。

 

HDM:メーカーの人たちにとっても夢が持てるバンドなのかも知れないですね。ファンの願いとしてはきっとひとつで、メジャーに出てポピュラリティを得たとしても、ダサいポップスターにはならないで欲しいってことだけだと。

VOCAL R:あ、それは大丈夫です。何と言うか…ご覧の通りの面々なので(笑)。意外とね、「メジャーのルールに沿って」とか「売れる為にこうしなさい」みたいな口出しって無いんですよ。

DJ:言わせてない(笑)。

HDM:言えない(笑)。

VOCAL R:逆に、メーカーの方がこのバンドに対して「ダサい売り方はしない」って気持ちでいてくれてるのかなって気もするけどね。

 

HDM:とは言え、正式に新しいステージが始まってしまいましたからね、これからどうしていきたいですか?

GUITAR:一番、僕自身がメジャーでやれる嬉しさって「契約期間」っていう現実的な条件なんですよ。

 

HDM:どういうこと?

GUITAR:何て言うか「契約期間」っていう、明確に提示された時間の中で結果を出すことを強いられるのが嬉しいんですよ。仲良いメンバーで楽しく続けたいけど、自分たちのルールだけでズルズルやっていくのはあんまり好きじゃないから。緊張感を持てる機会と、与えられた時間内で結果を出してやるっていうのがモチベーションになります。

PERFORMER:俺は、せっかく自分たちの存在が世間に広がっていく機会をもらえたし………お前、なに笑いながらチラっと見てんねん(笑)!

GUITAR:いやいやいや!見てないっすよ!真面目に聞こうと思って(笑)。

PERFORMER:…えっと、だから自分たちの存在が広がっていった時に、初めてのお客さんをどれだけ引き込めるか、引き付けれるかっていうのが、自分のパートの役割かなって思いますね。

VOCAL R:バンド内でのパフォーマーというパートの存在ってすごい大きいからね。

 

HDM:確かに。ボーカルに挟まれてのフロントマンですし。じゃあDJさんは?

DJ:僕はXmas Eileenというバンドの看板だけでなく、これからはビクターの看板も背負うことになったので、とりあえず信号は守ります!

HDM:今日、何もマトモなこと発言してないやん(笑)!

DJ:信号無視しません!

VOCAL R:いやいや、でもそれほんまにメッチャ大事なこと。ひょっとしたら一番大事なこと違うかな?

PERFORMER:今まで信号無視してたんかいって(笑)。

VOCAL R:思うんやけどさ、たぶん仮面があろうが無かろうが、俺らは決して爽やかなタイプの人間ではないということはもはや感じてもらえてると思う(笑)。

 

HDM:それはね…。だから、今日サイン会でみなさんがちゃんとテーブルに並んで座ってファンサービスされている光景の異様さが際立っていました(笑)。

VOCAL R:うん…(笑)。でも、そういうギャップも含めて面白がってもらえてるのかも知れない。

 

HDM:VOCAL Lさんは?

VOCAL L:俺はもう、純粋に楽しいってだけですよ。でもやっぱり、メジャーというフィールドはプロフェッショナルが集まる場所だから、決して悪い意味じゃなく「もう逃げられない」とは思ってます。闘っていかなアカンなって。さっきのポピュラリティと繋がるんですけど、今までは自分だけが満足する為に、独りよがりに歌ってきたようなところがあったんですけど、もっと「みんなで歌えるようなもの」という意識が出てきました。みんなで共有できる音楽を作りたいなって。

 

HDM:GUITARさんもそうですけど、プレッシャーにテンション上がるのっていいですね。DRUMさんは?さっきは気負いしかないって言ってましたけど(笑)。

VOCAL R:その気負いって、メジャーどうこうよりもドラムのテクニックに関してでしょ(笑)?

DRUM:そうそうそうそう(笑)。精神的なところでは、希望と不安が半々だから、それを楽しんでいきたいですね。

 

HDM:VOCAL Rさんは、リーダーとしてこのバンドはこれからどう展開していきたいですか?

VOCAL R:俺はアーティストとして成功したいっていうよりも、メンバーみんなとこうやってプロモーションしたり、ライブしたり、四六時中一緒にいれることがすごい幸せやから。だから、この環境と関係性の為に何としても結果を出したいって思う。みんなと一緒にいたい、遊びたいっていう、この気持ちを守る為に「何が出来るのか」ってことが一番重要ですね。

 

HDM:Xmas Eileenのメンバーの結束というか、関係性って本当に特別ですよね。仲が良いという表現では足りないくらい。

VOCAL R:そう。だからさっきDJが言った「信号を守る」っていうのもすごくわかる。この環境を守る為には、窮屈だと感じる「ルール」を受け入れることも大事だと思うし、そうすることで本当に必要なものが手に入れられるって思うから。

 

HDM:このアルバムが、オリコンにデイリーチャートインしたことについては?

VOCAL R:今までそんなこと有り得なかったことだし、数字がどうこうっていうよりも、今までみんなで継続してやってきたことのひとつの結果やと思う。もっともっとバンドとして力をつけていくことができれば、その都度、新しい希望に巡り合えるんだとも思うし。だから、今の時点で明確に「こうなりたい」っていう目標とか展望は無いのかなって。武道館とか城ホールとか、そういうキャパシティを埋められるようになんていうのは、真剣に音楽をやると覚悟したんだったら当たり前に到達すべきところだと思うから。

 

HDM:達観してますね。

VOCAL R:そうかも知れない。その瞬間が自分たちにとっての最高だったら、そこで終わってしまってもいいって気持ちもあるから。

 

 

HDM:『FUTURE SONG』は、アルバム中でも特にパーソナルな曲に受け取りました。

VOCAL R:あれはアルバムの中でも特別な曲になりましたね。あの曲をこのバンドで作りだせたことが、俺にとっては結構なターニングポイントになったんですよ。

 

HDM:どうして?

VOCAL R:こういう曲を作ってみたいって心のどこかでずっと思っていたんですけど、でもこの手のバンドでやるのは難しいのかなって葛藤があって。でもアルバムが出てから、友達から「『FUTURE SONG』で泣いた」、「めちゃくちゃ良い曲」って言葉をもらって、確信が持てたんです。「カッコいい曲」なら、このバンドはいくらでも作れる。でも「良い曲」はどうなんだろう?って疑問が正直あった中で、あえて振り切って作ったところがあるんです。結果、ここまでパーソナルな音楽が作れたっていうことの意味はすごく大きかった。

 

HDM:ある意味、このアルバムの核になる曲ですね。

VOCAL R:TRUCK MAKERから…いつもはそんなこと一切言ってこないヤツなのに「今、『FUTURE SONG』のMV見てるてるんですけど」ってメールが来て、「みんなで、ほんまに良い曲作れましたねって言ってました」って。でも俺たちは良い曲ばっかりしか歌えないのも、激しい曲ばっかりしか歌えないのも嫌やから、その両側を行き来するような掴みどころのないバンドでいたいんですよ。

 

HDM:一定のイメージをどんどん壊していって下さいよ!じゃあ、最後にPERFORMERさん、シメの言葉を!

PERFORMER:僕は、さっきも言ったように特にすることが無かったので、とりあえずボーっとしてたらみんながものすごいカッコいいアルバムを作ってくれていました。みんな、本当にありがとうな!

RELEASE INFORMATION

Xmas Eileen|仮面バンドがいよいよメジャーシーンで暴れる(後編)

Xmas Eileen / ONLY THE BEGINNING
VICTOR ENTERTAINMENT
初回限定盤(CD+DVD)
VIZL-998
3500円(税別)
2016年8月31日発売

Xmas Eileen / ONLY THE BEGINNING
VICTOR ENTERTAINMENT
通常盤(CD)
VICL-64596
3000円(税別)
2016年8月31日発売

EVENT INFORMATION

Xmas Eileen|仮面バンドがいよいよメジャーシーンで暴れる(後編)

Xmas Eileen 『ONLY THE BEGINNING TOUR 2016』 in OSAKA
& SUNHALL 2nd ANNIVERSARY 『DIG DUG』

日程:2016年10月14日(金)
場所:心斎橋サンホール
時間:18時開場 / 18時半開演
料金:前売3300円 / 当日3800円
出演:Xmas Eileen / FIRE BALL
お問い合わせ:心斎橋サンホール 06-6213-7077

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